⑦「ドラマみたいな人生」と言われるけど実際はそうでもない。-夜逃げをしよう。-
父が失踪し戻ってきてから家には見知らぬ家族が来るようになりました。
多額の借金の担保として土地と住居入っていた為、買い手が見に来ていたようです。
父は自営業でしたが仕事が減り収入もギャンブルに使い込んでいたので銀行だけでなくヤミ金に手をだし結果、借金取りに追われていました。
私が18歳になると高校の学費の滞納で支払わなければ退学になることが分かり入院していた母は親戚に頼み込んでお金を借りました。
しかし、毎日のように取り立ての電話がくるので私の学費にあてる為に借りたお金は全てヤミ金への支払いにまわりました。
それを知った親戚は大変怒りましたが母方の叔母夫婦は私の為に再びお金を貸してくれました。
銀行などに借りた大きな借金以外の怪しい真っ当でない所の借金は粗方完済したのですがそれでも取り立ての電話や家に来ることはありました。
父は自営の仕事だけでは生活が成り立たないので夜はビル清掃のアルバイトを始めました。
明け方に帰ってくる父は昔と比べるととても小さく弱っていましたが私には「頑張るから」と言って安心させようとしていました。
私は学校が終わると母の入院している病院に行き夜は地元の友人とバイクで走り回り遊び回っていた救いがたいバカだったのですが母はそんな私に大学にいかせてあげられなくてごめんねと言っていました。
2月頃になると父は深刻な顔で家を出ていかなければいけないと言いました。
18年間育った家の柱に刻まれた私の成長のしるしを見て涙を流したのを覚えています。
普通に引っ越せばいいものを何故か夜に荷物を少しずつ運びだしていたのでこれは夜逃げをするんだと自覚しました。
私の友人達も大変だからと車をだしてくれて夜逃げを手伝ってくれました。
父と二人でやっているより友人達と笑いながらやる方が気が楽だったのでとても助かりました。
無事埼玉にある母の実家の裏のアパートに引っ越しが完了し新たな生活が始まりました。
幼い頃よく来ていた土地だったので不便はありませんでした。
3月には無事に高校も卒業出来ましたが私は父の変化に気付かない本当にどうしようもないバカでした。
引っ越してから半年後父はホームレスになりました。
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