パプアの森の勇者 デメギョ 再会6
ポニーテールの姉ちゃんは、チエと言うらしい、助手席から手を伸ばし、ポッキーを2本くれた。
「ねぇ、アキラくん、どこに連れて行ってくれるのぉ〜。」チョット、スローな人だ。
「昼ごはんまだだったら、島原城の前の姫松屋で具雑煮に食べましょうか。」と言うと、パンチパーマの男がエンジンをかける、「ブォーン。」なかなかの、ヤンキー使用だ。
「じゃあ、あのお城の方に行けばいいんだな。」momoの小径ハンドルをまわした。
「そうです。」と、ルームミラーを見ながら言うと。
「よっしゃっ。」と、気合いを入れ、パンチパーマの男は、もの凄いエンジン音と、タイヤを鳴らして発進した。
僕の体は前後に揺れ、どうしよう、もう降ろしてもらおうかと心も揺れた。
「千恵子姉ちゃんは落ち着いてて、「拓也、飛ばさなくていいから、今日は安全運転でお願いね。」と、声をかけた。
この人達はひょっとして暴走族かぁ、僕はこの先どうなるのかと不安ななりながらも、カーコンポから流れる永ちゃんの、LOVE YOU OKと、隣りの千恵子姉ちゃんのフェロモンに酔っていた。
姫松屋で具雑煮を食べながら、ヤンキー3人と話していると、なんとか打ち解けてきた。
「でもお前スゴイなあ、千恵子姉さんに声かけるなんて。」
「チョット、どう言う意味よ、熊本駅で一番綺麗だったんだよねぇ。」と、千恵子姉ちゃんが首を傾げ、僕を見つめる、可愛いくも思えてきた、まだ少し怖いけど。
「そう言う意味じゃなくて、姉さんからは、近寄るなオーラが出てて、男は近寄りづらいんですよ、これを機会に、女性らしいオーラを出したらどうですか。」
「あんたからのアドバイスなんて要らないよ、アキラは、
私の出した女性らしいオーラに惹きつけられたんだから。」
そうじゃ無いんだけどと思いながら、頷いておいた。
「せっかくだから、お城に行って見よう。」と、チエちゃんが言い出しレジに向かった。
そこでは、俺が出すの、私が出すのひともんちゃくあって、結局、千恵子姉ちゃんのオゴリでおさまった。
店を出ると、目の前はお城、歴史のテストでは、自称80点以下を取ったことの無い僕は、観光ガイドを買って出た。
昔、島原さんと言う豪族が居たから、島原と言う地名になったこと、卵が先か、ニワトリが先かは、知らんけど、現在でもその末裔の方が、関東方面にお住まいなっている。
江戸時代、松倉とか、板倉とか言う殿様が身の丈以上の大きな城を建てた事、
江戸の幹部にいい顔したくて、自分の懐事情も考えず、多額の上納をしていたから、重税に苦しめられ、キリシタン弾圧もあり、農民達が島原の乱をおこした、島原の人達が全員キリシタンと言う訳ではない、しかし、ほとんどの人が殺され
、現在島原に住んでいる人は、以降に移って来た人の末裔である。かな、たろう、たぶん。
なんちゃって歴史家の僕は、もっともらしく語った。
「お前スゴイなぁ〜、徳川幕府も、今のヤクザ組織も一緒だなぁ、下の者は辛いんたよなぁ。」本当に理解しているかわから無いけど、しきりに感心していた。それから、近くの武家屋敷に寄り、寒ざらしを食べて、(白玉団子の入った甘い汁)チエちゃんが鯉の泳ぐ町に行こうと言い出し、千恵子姉ちゃんと二人で前を歩き出すと、拓也くんが寄ってきた。
僕の肩に腕を回し、自然と千恵子姉ちゃんと離れるようになった。
「お前のおかげで、千恵子姉さん、楽しそうだし、なんか女らしくなってきた、柔らか〜くなった気がするよ。」いかつい顔を、グシャッとして、笑っていた。
車で5分、鯉の泳ぐ町に着くと、早速、チエちゃんと千恵子姉ちゃんは、鯉に餌をやりながらはしゃいでいた、拓也くんは、鯉が取られたりしないのかと、不思議そうたった。
「近くに親せきの家があるんだけど、行ってもいいかな。」と、千恵子姉ちゃんが言う。
「うん、まだよかよ。」僕は、明日の事が気になりだした。
実は、生徒会長としての初仕事の日、新入生に在校生代表として、挨拶をしないといけない、日が傾いてきた、6時ぐらいだろうかな、その親せきの家に行ったら、千恵子姉ちゃん達とお別れしようと、考えていた。
「じゃあ、私のおばさんの家に行こうか。」と、拓也とチエに声をかけた。
「エ〜ッ、姉さんのおばさん、島原にいるんですか。」いつものオーバーリアクションで、チエちゃんは驚いていた。
「うん、すぐ近くだから、歩いても行けるけど。」千恵子姉ちゃんは、先にスタスタ歩きだした。
パーキングに停めてあった車に乗り込むと、「ブォーン。」例の騒音を撒き散らし走り出した。
「そこを真っ直ぐ、川のそばだから、そう、そこでいいよ。」車を止めた。
エ〜ッ、ここは、スナックナイーブ、同級生の健一の家だ。
部活も応援部、バンドも同じ、健一はサイドギター、僕はドラム、しよっちゅう遊びに来てて、カラオケもただで歌っていた、おばちゃんとも、顔見知りだ。
「カランコロン。」喫茶店のようにカウベルが鳴った。
「久しぶり〜ッ、元気しとったあ。」などと、近況報告がはじまった。
とりあえずカウンターに座った、おばちゃんは知らん顔で僕の前に水割りを置いた。
僕も知らん顔して、水割りに口をつけた。
あんまり旨いとは思わないけど、気持ちが乗ってきた、今一番自信のある吉川晃司のキャンドルアイズを歌い、調子に乗ってラビアンローズも歌った。
盛り上がってきたけど時間はもう10時、もう限界、隣りに座る拓也くんに、コソッと、「もう帰らんばです。」と言うと。
「お前は、千恵子姉さんば一人で寝かせるとか。」怖い顔で凄んできた。
「俺とチエは、二人で部屋を取るけど、お前は千恵子姉さんと寝らんばやろう。」
エ〜ッ、マジか、今日は僕も泊まりなのか、千恵子姉ちゃんも了解済みなのか、でもマズイ、明日からは生徒会長だ、前日泊まりで不純異性交遊マズイだろう、決断しなければならない。
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