【密着取材】ドイツ人Rの優雅な就活と就業後生活
ある理系専門職のドイツ人Rの履歴書
旧東ドイツで生まれたRは仲良しの両親の元ですくすく育ち、高校卒業と同時に卒業資格アビテュア(センター試験みたいの)を得て大学進学。アビテュアの成績は合計で約7割りちょいというところだ。
大学では物理学を専攻し、日本では修士にあたる学位を得ている。
しかし!Rは怠け者なのか卒業までに8年もかかった。
ドイツは受験がない分、卒業が難しく。やる気のない生徒はどんどん退学・留年していく。
この8年かかるというのはあまりよからぬ履歴である。
無事卒業したが、卒業論文で精根尽きたRは父親の経営する電気工事の会社でガテン系の仕事をすることに。
半年くらいしてそれにも飽きたRは卒業資格を生かした職を探し始める。
日本のように一斉就活のないドイツでは、ドイツ式の就活法があるのだが、それについては誰かが希望したら書いてみる。
兎に角、Rはちゃんとした就活作法に習わなかったので、半年も仕事を探し続け、やっとバイエルン州にある一社から内定が。
内定から就業へ
Rの内定した仕事は、自動車のギアかなんかを作る従業員1000人程度の会社で、ギアの改良をするような仕事だ。
内定が出たとき、「じゃあ、来月から働いて」といわれたので、大急ぎで家を見つけて就職準備をした。
ドイツのまあまあちゃんとした仕事だと、半年の試用期間があり、それをクリアすれば失業のリスクがほぼなくなる。半年まではすぐに解雇できる。
試用期間内でも給料はかわらない。Rの初任給は日本円にして月50万弱だ。税金はけっこう引かれるが、それでもまあまあの暮らしができる。というのも、Rは田舎で2DKで家賃が月5万円もしないアパートに住んでいるからだ。部屋はそれぞれ10畳はある広さだし、窓は2重窓だ。東京の貧乏学生の住むぼろアパートとは比較にならない質だ。田舎なので物価も安く、野菜なんて日本の半分の値段だ。
Rの就業時間
Rは徒歩で職場に通っているので、朝6時半に出かけて、三十分くらい歩いて職場に辿り着く。7時に始まり、朝食休憩という謎の休憩が9時ごろに三十分間、昼休憩が正午に30分間。そして、Rは大抵午後5:00 ~5:30に帰宅する。月~木の拘束時間は9時間!
さらに、金曜はいつも午後14時には家に帰ってくる。
土日はもちろん出勤なんてない。
仕事上の付き合いというのもドイツは滅多にない。90パーセントはいつもの時間帯に帰宅している。
Rの仕事についてのインタビュー
気の合う仕事仲間とゆったり働いているよ。
特に、就業前に父の元でガテン系の仕事をしていたときは、それこそ奴隷のごとき扱いだったので、今は天国だよ。
今は全く仕事のストレスなんてないよ。やりたかったような仕事につけて幸運だね。
それでなんだってんだ!?
日本の皆さんは驚かれただろうか。
そこそこの給料をもらい夕飯前に帰ってくる。しかも金曜はお昼過ぎに帰宅。
日本で就職した専門職の人の話なんて聞いていると過酷な動労にびっくりさせられる。
もちろん日本の製品は素晴らしい。しかし、Rの作っているのはベンツの部品だ。ベンツはまあまあの車である。そのまあまあの車を作っている人はこんなに暢気に働いているのだ。それでもまあまあの仕事をできるのだ。
はっきり言って、日本人はドイツ人より大抵能力的に優秀だ。長くドイツに住む私にはそれがよくわかる。だから、日本人ももっと暢気に働いても成功できるのだ。
日本の人々が夜中まで働かないでもRのようにそこそのの生活ができる日を祈る。
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