銀河の果て
銀河の果て
皆さんは、小さい頃に空を見上げて呆然としたことはないだろうか?例の
「あの星の向こうはどこまで続いているのだろう?」
ってヤツだ。
小学校の頃に
「太陽のまわりを地球が回っています。その地球の周りを月がまわっています」
と言われ、中学校になると
「太陽は銀河系のまわりを回っていて、銀河系は・・・」
と延々と先があることらしいことを教えられた。
中学校では、また
「物質は原子でできていて、原子は原子核のまわりに電子がまわっていて・・・」
どうも、この世はマクロの世界もミクロの世界もグルグル回っているらしい。
無限というと気が遠くなる。しかも、見上げた星は遠くにあるために
「あの星は1億年前の姿だよ」
と言われる。でも、1億年なんて時間は想像も出来ない。私たちは多い過去の世界を見ているのか。
高校の数学で「極限値」を習った。無限の空間と、無限の時間の中で私たちの存在など極限値ゼロではないか。いくら教師が
「キミは宇宙にたった一人のかけがえのない大切な存在なんだ」
と言っても、極限値ゼロである自分がそんなエライ存在とは思えなかった。
高校の生物で「進化論」を学んだ。生物は環境により適応したものしか生き残れないという。淘汰を経て進化してきたと言うのだ。そして、その進化は遺伝子の突然変異で起こるとも言われた。
しかし、それは
「ナイル河の氾濫で石が削られて直方体になり、洪水や天変地異でピラミッドが積みあがったのだ」
というくらいムリがある。普通、そんな建物を見たら
「誰かが設計図を書いて人工的に作った」
と思うだろうが。
では、その誰かって誰だ?
普通に考えたら「神様」となるだろうが、私はそんなものを信じてはいなかった。だから、アメリカのBYU(ブリンガム・ヤング大学)の物理学者の家でホームステイをさせてもらった時にバンフリートさんに尋ねた。
「物理学者って、実験で証明されないと信じないじゃないですか。それなのに、何で証明されない神様なんか信じるのです?」
バンフリートさんは笑っていた。
ナゾだ。サイエンスは、謎だらけで、空虚な感じがした。
ここ三重県北部では四日市高校をめざす中学生が多い。学年で数名しか合格しないので憧れる子も多い。でも、合格したら息の詰まるような受験勉強があるだけだった。
一番近い旧帝は名古屋大学だから、名大をめざす高校生が多い。しかし、名古屋大学に合格して、卒業しても何も変わらなかった。
それで、何かプレミアなものを探して自分にできそうなものを考えた。それが英検1級だった。でも、合格しても日々の生活に大きな変化はなかった。
それで、理科や社会や国語も指導できるように勉強してみた。英語講師なのに、数学も勉強して京大の二次試験で合格ラインを越えて成績開示してみた。
優秀な高校生の方に集まってもらえるようにはなったが、生活が激変したわけではない。
ネットが普及してきたので、ブログや動画を投稿してみた。ジャンルランキングで1位や2位になれた。しかし、日々の生活は特に大きな変化はない。
英語の文章が読めるので、ネイティブの友人がたくさんできた。数学の奥深さが分かり問題を解けるのは楽しい。優秀な生徒たちと会話するのも楽しい。
しかし、やはり病気になったり、事故に巻き込まれたり、バツイチになったり、愚かな人に絡まれたりする。穏やかな日々を過ごしたいだけなのに、出来ない。
学歴や、公的な資格や、学力などは何も神通力を持つものではない。全ては空なのだ。
何も分からない小学生や中学生は、オリンピックや芸能界のきらびやかな世界に憧れる子もいる。しかし。
「空の空。伝道者は言う。空の空。すべては空。日の下で、どんなに労苦しても、それが人の何の益になろう。」(伝道者の書1章2~3節)
伝道者の書は、知恵文学の一書と言われています。この書の内容は、人間の立場から見たありのままの世界であり、この地上世界での幸福と満足の追及です。よって、幸福と満足を求めている私たちにとって参考になります。著者はイスラエルの三代目の王、ソロモンです(BC990頃~931没)。
外国で暮らせば、自分が変わるかもしれないと思いアメリカで教師をしていた。しかし、何も変わらなかった。少林寺拳法をやれば悟れるかと思い黒帯を取った。しかし、何も悟れなかった。
自分で塾を開いて指導したら、京大医学部、阪大医学部、名大医学部、三重大医学部などに合格者が出た。しかし、何も変わらない。全ては空なのだ。
どうしてキリスト教の「空」と、東洋の剣法の「無」 の境地に似た点が多いのだろう?
一方は「愛」を説き、他方はもともと「殺人」の技術。
ある禅僧は、禅の究極の目的とは「三毒追放」、つまり「妬む・怒る・愚痴る」という心を自分の中から追い放って「無」の状態になることだと述べています。人間が生きていく上で行う、煩悩に囚われた様々な行為を捨てさせるのが禅の目的とするならば、「無外流真伝兵法訣」とは禅の公案を剣術に移したようなものであり、敵に対して行いがちな様々な無用の行為を捨てさせ、いかに己の剣を「一法」に昇華させるかを論じたものだと言えます。
私は塾講師だから
「あいつは東大。オレはFランク・・・」
という言葉をよく聞く。恋にやぶれて絶望的になる人もいる。破産して、目の前が真っ暗になり夜逃げや首をくくる覚悟をする人もいる。
私も経験者だから、その気持ちはよく分かる。しかし、一人の女性に嫌われたことが、そんなに大きな問題なのか。お金を失ったからといって、この世が破滅するか。
不思議なことに、サイエンスも、宗教も、格闘技でさえ同じことを教える。
「そんなことは小さなことだよ。できるだけ心を空にして重荷を下ろしなさいね」
そう教える。
困ったら逃げればいい。コケればいい。泣けばいい。暗闇にいると、その暗闇が永遠に続くような気がする。絶望的な思いにとらわれる。しかし、人間に永遠はない。必ず、その暗闇は消滅する。
星を見あげ銀河が目に入ると、心が空になり、無心になれる。元気になれる。
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