中卒・元自営業が6000人規模の上場企業で働いてみて思ったこと~顔のない上司~
同じ人間なので個別に話すとそれぞれに主義・主張をお持ちである。
時に、愚痴のようなものを吐き出すこともある。
しかしこれが組織となると主張をしない。
もしかしたら最初のほうは意見や主張をぶつけていたのかもしれないが、結局なにも動かすことができないのを知っているのか、言ってしまえば諦めてしまい本音と建前をうまく使い分けている。
そこで経験と役職、さらに家族を持つと年齢とともに保守的になっているようにも思う。
酒を交わしながら本音で語り合ったとしても、
ある日突然、指示が変わる。
そして主張も変わる。
さすが聡明な方なので、そのあたりの建前は本当にお上手だ。
聡明な部下達もそれを感じながらもそつなくこなす。
この本音と建前をうまく使い、無難に成果を上げ続けた者が出世するのだろうか。
私のような異分子はどうも違和感があってしょうがない。
そもそもそういった異分子は、どうやら採用で弾くようである。
稀にいる異分子よりの社員は、自ら会社を去ることも多いようである。
結局残るのは本音と建前をうまく使いこなせる聡明な方達だ。
常に組織にいる得体のしれない「顔のない上司」に気に入られるかのように。
御用社員
組織というのは適材適所のバランスが大事だと感じている。
ただバランスを固めすぎると大きな組織となると大企業病とでもいうのだろうか、
逆に非効率と感じてしまうことも多い。
自営業の時や、中小企業であればそのあたりのスピード感は強みであったかもしれない。
相談や提案、何かの決定をするとなると、上司からさらにその上の上司、
そして管理職といったような手順を踏まなければならず手間がかかる。
もしも強い主張や意見をする者が間にいたら、より手間がかかってしまうだろう。
そこでさらに効率をよくしたい上司は、自分にとって都合の良いことを言ってくれる部下だけを周りに置くようにもなったりするのだろうか。
たとえ愛社精神があったとしても強い主張や意見をする社員は弾かれるか、自ら去る。
それが派閥や力関係による権力闘争であるのか、結局残ったメンツは、
上司におもねる社員、言ってしまえば御用社員ばかりである。
そんな御用社員なる者達が集まっている上司やチームは中々強敵である。
しかしここに信頼関係があるのかはまた別の話である。
だが御用社員が多ければ、意思決定もスムーズとなりチームとしても良いとも言えてしまう。
この出世競争を勝ち上がるには、御用社員となりつつ本音と建前をうまく使い分けていく他ないのだろうか。
ただ御用社員ばかり増えると、ある意味で組織内で無責任体制ともなってしまう。
現に、大きな組織には責任者がどこにいるかわからない。
だがこのような大企業病ともいえる問題は、聡明な社員たちは認知しているはずなのである。
しかしながらこれを「想定の範囲内」と事実を良い方向へ受け止め、
認知的不協和により問題を解決できないとさえ感じている。
ただこれらは問題化していると考える人が少なければ、問題とすらならないのだろう。
最終的には少数派である者が自ら去るか、
退職者の責任となって終わってしまう悪循環に陥る可能性もある。
扱いやすい御用社員だけを会社は求めているのだろうか。
「顔のない上司」の理念を形にするために。
片道切符の島流し
聡明な社員は、会社員の本音と建前をうまく使いわけながら指示通りに従う。
役職や権力を手にするまでは、あまり我を出さずうまく立ち回る賢い人もいるだろう。
しかし個人的には愛社精神が前提であれば、もう少し本音を出しても良いのではないかと感じている。
身を置く会社は、決定権や人事は親会社が全て掌握しているが、
中央集権による会社統制をはかることは否定はしない。
しかし中央は、現場を知らずして正論だけを唱えてくることが多い。
現場としては中央の指示どおりに動くが、現場の考えと会社の理念に乖離が生じてくることもある。
そして会議をし、皆で決めた意見としてまとめて上司は中央に報告する。
そこには建前だけで本音などないだろう。
愛社精神を前提とした強い意見や主張をしようとする社員が少ないように感じる。
強い意見や主張があったとしても、上司は中央に報告することはないからだろう。
そんな強い意志を持った社員がいたとしたら、どうやらいずれ弾かれてしまう可能性が高いという。
もちろん文句や愚痴だけで対案のない者は弾かれて当然である。
しかしこれが大きな組織となると、なかなか問題を問題化することすらできない。
結局、ただ理念を形にしてくれる、指示どおりに的確に業務遂行するのが優秀な社員ということなのだろうか。そしてここでいう優秀な社員が出世する世界が大企業なのだろうか。
しかしそれぞれの社員や上司に悪い人はいないし、個々に話すと問題と認識もしている。
直属の上司に強い主張をしたが無駄であると感じた。
愛社精神があったとしても強い主張をし続けると、
まだ理念が共有できない社員だとみなされ出世ができないようである。
そして私は出向を命じられた。
片道切符の島流し
それを恐れる社員は、いずれ強い主張をしなくなるのだろうか。
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