②セットアップにかかった日本人の救出作戦
「だって、やったって、調書にゲンさんのサインがしてありますよ」
「いや~そんなの、嘘だ!俺は本当に何にもやっちゃいね~よ」
書類を見ながら大きなゼスチャーで首を振るゲンさん
「分かりました。それでは私にはひとつアイデアがあります。」
私はおもむろにバインダーノートから一枚の紙を取り出し静かな口調でゲンさんにつぶやきました。
「この紙に私の名前を書いてもらえますか?」
「いいですか?私の名前ですよ」
「おうぅ・・・」
訳も分らず私が用意した白い紙に私の名前を書くゲンさん。
誰もがことの成り行きを見守りゲンさんの指先に注目します。ゲンさんのサインがはいった調書と私の名前が書いてある白いバインダーの紙と両方を並べ、胸を正面に向け、声高らかに叫びました。
「ゲン氏は供述調書のサインは自分のサインでは無いと申しています。」
「本当のサインは、ここにあるサインで供述調書のサインはねつ造によるものだと云っています」
堂々と胸を張り、どこかの国の常套手段のように大声でねつ造宣言を致しました。
さっきまで半笑いだった警察官の顔が一気に引き締まる様子を見ると、私の放った先制パンチは相当なダメージを与えたと感じました。
これから一気にカタを付けましょう。ゲンさん救出劇の始まりです。
続く・・・
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