パプアの森の勇者デメギョの復活(アトピー地獄からの脱出) 3
まだ完全復活とはいかないが、時々デメギョ(もう一人の自分)が顔を出し適切なアドバイスをしてくれるようになった。
そんなある日、同級生のチカちゃんが花屋にやって来た
「調子はどう、私もいろいろあってなかなか来れなかった。」
チカちゃんにも弱音を吐いて、話を聞いてもらっていた。
「チカちゃんは悩み消えたみたいだね、なんかふっくらしてきたよ。」
前回来た時は、聞いてみると大きな悩みを抱えていてガリガリに痩せていた。カウンセリングや占い、神様等々いくつものところに相談して、後はスッキリしどれもそれなりによかったらしい、デメギョも紹介するからどれか行ってみればと、勧められていた。
中でも藤枝さんが良かったと、いろいろ話を聞いてくれて占いとはちがうけど、将来のことも見える目をお持ちだそうで。
「うん、だいぶ良くなった。デメギョはどうなの、こないだ紹介した藤枝自動車の藤枝さんのとこ行ってみた。」まだ行ってなかった。
「でも藤枝さんもうこっちに居ないの、結婚して佐賀に行かれたみたいなの、私も最近全然お会いしてない、もしまだ会ってないならと思ってこの本持って来たんだけど、読んでみて。」
一冊のベストセラー本を差し出した。
「この本を書いた人と藤枝さんは、同じカウンセリングの学校で同級生だったの、良いこと書いてあるから。」
しばらく話をしてチカちゃんは帰った。午後3時ごろだったと思う。
その日の夕方7時前、一人の女性が店を訪れた。
なんか野暮ったい感じ、体は小さいが大きすぎるメガネ、挙動不審、職務質問した。
「どういったものをお探しですか。」
「ええちょっと、お世話になった方にお礼で観葉植物を差し上げたいんですけど。」
もうすぐ閉店時間、予算を聞いてミニ観葉植物のセットを3つ作ることにした。
早く帰るために無駄な話はやめて黙々とラッピングをはじめた。
しかし、心のデメギョがお客さんと話せ、コミュニケーションをとれとうるさい。しかたなく。
「最近天気が安定しませんね、暑かったり寒かったり雨も多いですね。」
天気の話を皮切りに世間話を始めると、その女性も話に乗ってきて。
「しかし花屋さんも大変てしょう。私も商売してるから。」
「商売って、何の商売されてるんですか。」
「ええ、自動車屋をやっておりまして。」
なんかピンとくるものがあって。
「ひょっとして、お名前は藤枝さんじゃないですか。」
「そうです。藤枝です。」
「藤枝自動車の藤枝さんですか。」コクンとその女性は頷いた。たたみかけるように、
「ほんの数時間前、秋吉歯科の同級生(チカちゃん)が来て藤枝さんのことを話して、この本を置いていきました。この本の作者とあなたはカウンセリング学校の同級生ですね。」また、コクンと頷く。
「秋吉歯科さん(チカちゃん)は、僕がいろいろ悩んでいる事を知ってあなたと会わせたがっていました。だけどあなたは、現在佐賀に住んでいらっしゃってなかなか会うことができなくなったと言ってました。まさか、ここでお会いできるなんてなんか不思議ですね。」
藤枝さんはウンウンと頷きながら。
「必然です。あなたとお会いすることは必然なのです。」
「あなたの頭の上には神様が乗っていますよ、3月中旬から調子が良くなってきませんでしたか。」
「おっしゃる通りです。最近忙しくなりいろいろ良い事が起こっています。」
藤枝さんはまだウンウンとうなずいている。
「来年は申年、あなたは申年ではありませんか。」
今度は僕が頷くことになった。
3つのミニ観葉セットのラッピングを済ませ、メッセージカードをつけて。
「全部で¥6000になります。」
藤枝さんはバックから財布を取り出し開くと、
「¥6000ちょうどしかございません。」
待ってましたとばかりに僕は、
「これは必然ですかね。」
「必然です。」藤枝さんはキッパリ断言した。
最後に質問した。
「藤枝さんは、秋吉歯科さん(チカちゃん)から僕のことを何か聞いていましたか。」
「何も聞いていません。」
「すると、僕が世間話をしてお客さんの名前を聞いて、しかもピ〜ンとこなければこの出会いは無かったのですか。」
「そういう事になりますが、しかしこの出会いは必然です。」
藤枝さんは、キッパリそう答えると席を立ち帰った。
藤枝さんにカウンセリングを頼むと一回三千円だそうだ。僕は六千円もらってカウンセリングを受けてしまった。儲かった。
すかさず、チカちゃん(秋吉歯科)にメールで事の顛末を報告した。
そんなことってあるのね〜、なんか、背すじがゾワアッとした。みたいな返事が返ってきた。
著者のOokubo Aklraさんに人生相談を申込む
著者のOokubo Aklraさんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます