パプアの森の勇者デメギョの復活(アトピー地獄からの脱出) 4

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花屋の売り上げは好調を続け、気持ちは上がったままキープしていた。

「調子良いみたいだね。」同級生の森上は、以前から僕のことを心配して、よく店に来て話を聞いてくれていた。気持ちが上向いてからは初めてだ。

「うん調子良いね、何をしても当たる様な気がする。アトピーの方はイマイチだけどね。」

「そんな事ないよ、顔もだいぶ綺麗になってきたよ。その調子で宝くじでも買ってみたらどう。」

「多分当たるだろう。でもそんなことで今の運を使いたくないね。それより、何処かの電柱に当たらないか心配だよ。」

そんな話をした次の日、ぼう〜っとしていたら、配達先の家を5mほど通り過ぎてしまい、急いでバックしたら電柱にぶつかってしまった。

花屋の裏にある北星自動車に修理をお願いした。

「板金が必要になりますから、10万円ぐらいみといてください。」

宝くじでも買っといた方がよかった。


お礼参りに行って無かったからバチが当たったと思い、今まで悩みを聞いてくれて、心配してくれた友達にお礼を言いに行こうと決めた。

まずは、近くの調剤薬局に向かった。前から食事に行こうと誘われていたけど、女性と食事に行くなんて、引きこもっていた僕には苦痛でしかなかった。

調剤薬局のドアを開けると、受付に座ってる同級生の麻巳子に声をかけた。

「こんにちは、昼休みに食事に行こうか。」と提案した。

「うんいいけど、今日は患者さんが多いから何時に昼休み取れるか分からないよ、それにデメギョの話昼休みの時間内で終わるの。」さすが麻巳子、僕の話が長いことをもうすでに分かってらっしゃる。

「よく考えてみたらそうだね次の機会にしよう、いつでもいいから電話して、ゆっくり話がしたいんだ。隣の八尾にも声掛けといて。」と言い、薬局を出た。

僕は女の同級生からも、今だにデメギョと呼ばれてる、隣りの病院にも友達がいる看護婦長の八尾だ。

この二人の女性にも男として情けないが弱音を吐いてお世話になっていた。調子の良い今のうちに、お礼を言いたかったけどフラれてしまった。

ふと考えると明日は誕生日、4月18日で47歳になる、人生折り返してしまった。心機一転一からやり直そう。アトピーを乗り越えるには最後のチャンスと思い、近くのカラオケ屋に向かった。

ここにも同級生の女友達がいる。同じように引きこもっている僕を元気づけようと、食事に誘われていたけど丁重にお断りしていた。

カラオケ屋のドアを開けると目的の友達がいた。

「あずみ、食事に行こうか。」

「やっと行く気になったぁ〜、でも今日は店番だから出れないよ。」

「そうか、じゃあここで食事しよう。12時なったらまた来るから何か作っといて。」返事も聞かずに店を出た。

時間通りに再びカラオケ屋のドアを開けた。

「あずみ、何か作ってくれたぁ〜。」と言うと、あずみの後ろにいたあずみの妹が笑ってた。

「じゃあ行こうか。」あずみは、バックを手に取り店を出ようとした。

「なんで、ここで食べるんじゃないの。店番どうすんの。」

「妹に店番頼んだから、どこか食べに行こう。」ドアを開け出て行った。

「ちょっと待て、妹さんに悪いよぉ〜、すいません。」僕は頭を下げた。妹さんはいいんですよと言わんばかりに笑っていた。

急いでカラオケ屋のドアを開けると、あずみは車に乗り込もうとしていた。

「歩いて行こう。一番街まで行けばどこかあるだろう。」

「エ〜ッ、歩くのキツイよ〜。」うんざり顔のあずみ。

「天気もいいし、歩こう。」あずみは嫌な顔をしながらも一緒に歩いてくれた。

1キロぐらいは歩いただろうか、隣りを歩いてるあずみはなんか浮かぬ顔だけど、僕の気持ちは晴れ渡りいい気分だ。

感じのいい喫茶店に入り、心配掛けたことを詫び、最近昔の自分(デメギョ)を取り戻しつつある事、これもあずみを始め友達のおかげ、ありがとうを伝え、いろいろおもしろ話で盛り上がった。

あずみは少ししか食べず、残したものを僕が全部平らげた。

帰りは一番街、サンシャイン中央街アーケードを抜けるとそこで、春のまだ少し冷たい風が通り抜けて行った。

隣りを見ると、そこにはやっぱりあずみが歩いてる。

「今日は楽しかった。なんか幸せだな、あずみはどう。」

「私は別に、普通。」と、素っ気ない。

川沿いを下りて行くとカラオケ屋、留守番をしていてくれた妹さんにお礼を言い、その場を去った。

1時間後、またカラオケ屋に行きあずみを訪ねた。

「なんでまた来たの、。」不思議顔のあずみの隣りに座った。

「さっきちょっと言い忘れていた事がある。」

「帰り道、あずみは別に普通って言ったよね、僕は違うんだ、幸せだったし嬉しかった。今まで10年ぐらいは引きこもりで、外を歩く時はマスクをして下を向いて人目を避けて歩いていた。今日はマスクを外し曲がりなりにも女のあずみと、堂々と道の真ん中をあるけた。ありがとう。」

それだけ言うと、あずみを残して店を出た。

見えなかったものが見えた、アトピーを通して見えるものがある。ありがとう。





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