Startup Weekend との出会い

その日、2011年5月21日は、夕方から、四谷の麹町スクワールで開かれていた高校の同窓会に出席していた。私が卒業した高校は広島にあるのだが、卒業生の多くは東京に在住している。春と秋の年2回東京で開催される定例の同窓会には、その年に大学に入学したての18歳から車いすで駆けつける92歳までと幅広い年代が100名以上出席するのが常であるらしい。らしい、というのは、私はその同窓会の常連ではなかったのだが、たまたま、前年から幹事の当番が回ってきていて出席せざるを得ない状況だったからだ。
同窓会も終盤に近づいてきた頃、平光昌寛さんが会場に姿を現した。ずいぶん学年の違う後輩だが、慶大生の当時からすでにプロのエンジニアであった彼は、同時に優れた社交家でもあり、誰でも気軽に声をかけてくれる人であった。
前年秋の同窓会で、法律関係の質問を受けた縁で知り合いになった。
「実はいま、恵比寿でStartup Weekendという国際的なイベントに参加していて、途中でぬけてきているんですけど、これから戻るので一緒に行ってみませんか?」
どういう話の流れでそうなったのかは全く記憶に残っていないのだが、そのイベントを見学に行かない、という選択肢はその時の私の頭には思い浮かばなかった。国際的で、優秀な人々が集まっていて、夜も寝ないで、起業で、開発で、それなのに宇宙に行けるパンツとかバカなアイディアが出たりする・・と彼の説明では、それがどんなイベントなのかさっぱりイメージがわかず、自分の目で確かめたくなったのである。
真っ暗に静まり返るオフィスビルの通用口からインターフォンを鳴らして会場への入口を開けてもらう。デジタルガレージという会社のオフィスらしい。
中に入ると、得体のしれない熱気のようなものに一瞬圧倒された。今までに感じたことのないエネルギーがあたりに充満している。70~80人くらいの人々が、いくつかのグループに分かれて座り、パソコンに向かったり小声で話し合ったりしている。みんな私たちが入ってきたことに気づかないか、または全く気にしていないかの様子だった。
この時、平光さんが半ば強引に人々の仕事を中断させて私を紹介して回ってくれなければ、その場の雰囲気に圧倒されて「お邪魔しました~」と踵を返していたことだろう(今思えば、翌日のプレゼン準備で一番忙しい土曜日の夜に、嫌な顔もせずお話しを聞かせてくださった方々、本当にありがとうございました。)。
「この人には絶対会っておいた方がいいですよ」と最後に紹介されたのが、Jonnyだった。
Jonnyは作業しているグループとは少し離れたところに椅子を2つ用意して、一つを私に勧めもう一つに自分が座った。初めて会ったのに、何かこれから重要な打ち合わせをするような雰囲気だった。Jonnyはあの特徴のある流ちょうな日本語で何かを熱心に訴えかけていた。「Trust me」という言葉が印象に残っているだけで今となっては何を1時間以上も話したのか全部は思い出せない。ただその1時間の間に私は人生の中で1、2を争うほどの「衝撃」に似た気持ちの高まりを感じ、帰るときにはJonnyとがっしり握手をして、Startup Weekendの活動のために私にできる限りのことをしなければならない、と心に誓ったのだった。
その後、Startup Weekendのスポンサー、イベント中のアドバイザーなどをしながら、Startup WeekendをNPO法人化するというJonnyとの約束も果たした。
そして今、Startup Weekendのオーガナイザーを務めている私がいるのだ。

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