第三十八章 私の指導力じゃない。

第三十八章

「私の指導力じゃない

 毎年、塾生の子たちが中学生は四日市高校、高校生は京都大学に合格していくと

「高木先生の指導力はすごい」

 ということになるらしい。卒業生の7割ほどが難関校に合格するようになってから知名度が上がった。でも、それは最初から成績が良い子が集まってもらえるから。また、イマイチの子は途中で塾をやめてしまう。結果的に、本番をむかえる頃には合格するに決まっているような子だけが残っているだけだ。

 私の指導力のせいとは思えない。同業者の方や、学校関係者の方が高い合格率の理由を教材や指導方法にあると思われ尋ねてくることがある。しかし、何も秘密などない。生徒の方がすべてなのだ。

 設問を立てるのなら、

「どうして賢い子が集まるのか」「どういう子が最後まで頑張るのか」

 であるべきだ。前者はよく分からない。たぶん、私が自ら英語の資格試験を受けたり、京大を7回受けたりして実証しているからかもしれない。後者はハッキリしている。性格がまっすぐな子だ。ゆがんだ性格の子では学力が伸びない。続かない。

 たとえば、数学の問題が解けない時の典型的な反応を2つあげると

「こういう問題は、どこに手がかりを見出すべきですか?」

 というのと

「こんなの習ってないからやる必要ないし、出題されない。問題集がおかしい」

 というもの。

 つまり、自分を進歩させよう、自分を変えようとするタイプと、他人を批判し、他人を変えようとするタイプ。後者の他人を批判するタイプの子は、どんな指導をしても満足しないので最後まで残らない。たいてい、志望校には合格しない。

 前者の自分を高めようとするタイプの子は最後まで残ってもらえる。そういう子ばかりが受けるから、私の塾の合格率は高い。お気づきでしょうか。ここに秘密があるのを。

  私は生徒に媚びて簡単な問題ばかりやらせて「スゴイ!」「大丈夫」なんて言わない。塾を去られても指導レベルを下げない。ここには、最悪の場合は塾が倒産することも覚悟の上という強い思いがある。

  自分で勉強してみて分かった。教科書準拠の問題集ばかりやらせる学校。同じ水準の問題ばかりやらせる塾や予備校。それでは難関校の合格は絶対に無理なんです。難関校に合格していく子の勉強法を見れば分かる。学校の宿題だけで満足するタイプじゃない。

 みんな赤本を2周も3周もやっているのだ。「解ける」では満足しない。「制限時間内で、合格点をつけてもらえる解答が書ける」までやり続ける。そういう子たちなのだ。必要なら、好きなクラブも犠牲にする。必要なら、生徒会も趣味も放棄する。友達から後ろ指をさされても気にしない。

  そういう子の背後には多くの場合、支える保護者がみえる。期待に応えるため頑張る。そういう生徒に、他人ばかり責める生徒は絶対に勝てない。そのことが分かっているので、私は指導レベルを下げられない。

 これは、自分でやった人。そういう生徒を指導している人でないと分からない。誰だってクラブはやりたい。誰だって趣味を捨てられない。でも、勉強を優先すべき時はきっちりやる。そういう子だけが「合格」をつかむ。

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