慢心するなかれ(とある大好きだったケーキ屋が、嫌いになった瞬間の話)

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お店としては落ち度がない、

というだけの問題ではないと思うのです。

目の前のお客様の後ろには、

ケーキを楽しみにしている家族がいるのです。

残念な思いをさせてしまったことには変わりないと思うのです。



例え予約がなかったにしろ、

用意できるホールケーキの在庫がゼロだったにしろ、

新たに別のケーキを購入してもらい、

差額を請求するのはどうなんだろう? と思うのです。



差額請求は正当なのかもしれません、

でも店主として、お客様にとって最善の方法、手段を

自分の裁量でその場で取れたはずではないか? と思うのです。



この店主が単に接客が下手なだけかもしれないけれども、

謝罪も、ごめんなさいねぇと口だけではなく、

しっかりとお客様に向き合い、頭を下げて

口下手であっても謝罪の意を伝えるべきではないだろうか?と思ったのです。

だってお客様は泣いておられたのですから。



店主にしてみれば、

予約もしていないのに言いがかりだ、

と思ったから、その対応だったのかもしれないですが。



この店主さん、ケーキは美味しいのに

残念な接客だなぁ・・・と思いながら、それでも私は通っていました。





は? その対応の意味が分からない。

そして、先日、

ケーキを買いに行った時のことです。


私は会社用と自宅用と、レジを分けて2回買い物をしました。

レジはおばあちゃんでした。

最初に会社用。

焼き菓子を買い、数が多かったので

お店の奥から店主が出てきて、

おばあちゃんを手伝って袋詰めをしてくれました。

その間におばあちゃんがレジを打ち、

打ったレシートを私に見せてくれました。


私はそのレシートを見てお金を支払おうと、小銭を用意している間に、

店主がもう一度レジを打ったのです。


つまり、1回の会計を2回レジ打ちしたわけです。

それを、おばあちゃんと店主が言い争いを始めたのです。

店主さん
打ったんだったら言ってよ、
レジばかり見ているから
まだレジ打っていないんだと思ったじゃない
おばあちゃん
もう先に打ってあるんだよ

・・・お客の前で、するか? 親子喧嘩を。



お支払いを済ませ、その後に自宅用を注文しました。

お金を払う前に、このお店のポイントカードがいっぱいになっていたので

金券として使用しようと、レジに出していました。

するとおばあちゃんはそれを見逃し、

レジを打ってレシートを切ってしまったのです。



えっ、この金券を使いたかったのですが
おばあちゃん
え? そうだったの? もうレジ切っちゃったよ
店主さん
今日のポイントついたのは次回来店時から使えるから


・・・意味が分からない。



金券になるポイントカードを見れば、

今日の買い物でいっぱいになったのではないことは一目瞭然です。

でも金券を手に取って確認するわけでもなく、レジを打ち直すこともない。




そして、おばあちゃんは言いました。

おばあちゃん
金券として使いたかったら、次は会計より先に出してくれなくちゃ




ああ、なんという残念な対応だろう、と思いました。




ポイントカードがいっぱいになるということは

リピーターであり、自分の店のファンであることは分かっているはずです。

ファンに対しても、こういう接客なんだなぁ、と

心から残念に思いました。




地域密着型で、きっとたくさんのファンはいる。

だから私ひとり、顧客が減ったからってどうってことはないのでしょう。

自分の店の接客に納得いかないんだったら、

来なくていい、と思われるのかもしれない。

淘汰ですから。

でも、だからといってそれにあぐらをかいていて、いいのだろうか。

それは慢心ではないのだろうか。



ケーキは美味しいし、大好きなんだけれど、

でも買い物に来るたびに、きっと自分の中で

胸の中にあるつっかえが、

わだかまりが大きくなってしまうだろう、と思う。



以前見た、クリスマス・イヴの時の対応は

自分ではなく傍観者だったから、

残念と思いつつも、ケーキを買いに来ていたけれども。

その時に抱いた違和感は、いざ自分事になったら、

やはり納得できるものではなかった。




もうすぐ、子どもの誕生日だけれども、

そのケーキは、このお店で買いたいと思えない。


子どもの生誕を祝うケーキは

やっぱり晴れやかな気持ちでお祝いできるケーキであってほしいから。




でも、このケーキ屋さんに感じた事を自分に向けた時、思う。


私は我を通し、頑なになっていないだろうか。

意志の強さや信念と思っているものは、

実は慢心にはなっていないだろうか。

信念とは、それ以外の意見や思いを全面拒否するものではない。

私は、人の意見や思いに対し、耳を傾ける謙虚さを持っているだろうか。

プロとしての意識を持って、お客様に接しているだろうか。








あなたも考えてみてください。





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