アナウンサーという職からみた「話す」「聞く」とは?

フリーアナウンサーである平野裕加里から大学の講義でお話を伺う機会があった。授業開始時から、まさにアナウンサーらしく大きな声で教室中に響く彼女の言葉に眠気が一掃されたが、正直アナウンサーからどんなことを学べるのか、その時は全く分からなかったが、結論から言うと本当に学びの多い講義だった。

「アナウンサーの仕事とは何か?」平野さんは学生に聞いて回り、僕も答えを考えていた。インタビューをすること?司会をすること?原稿を読むこと?色んな答えらしきものが頭に浮かんだが、平野さんの答えは違った。

アナウンサーの仕事は、「雰囲気を作ること」「居心地の良い空間を作ること」

その言葉を聞いたとき、僕の頭の中はクエスチョンマークで一杯だったが、すぐに答えはわかった。

アナウンサーとは、話し手のプロであり、聞き手のプロなのだ!

いかにして緊張している相手から話を引き出すか、ゲストとしてお越しした方が本音を話しても良いと思えるような雰囲気をどのように作るのか、彼女たちは常に考え、いろんなことを実践している。

例えば、インタビューをする際には事前に相手の情報を調べ好意を示すことや相手の目を見て笑顔でうなずきながら話を聞くことなどが挙げられる。

そんな聞き手のプロである平野さんから学んだことは、「話すこと」「聞くこと」には人間性がくっきりと表れるということだ。

例えば、「良いよ」という言葉一つとっても、「いいよ!!」と答えるのと「まぁいいよ」と答えるのでは全く聞き手の印象は異なるし、本当に相手のことを想って返答をする際には「まぁいいよ」なんて言わないだろう。

平野さんが例に挙げてくれたのは、ケントモリさんが番組に出演してくれた時のこと、普通のゲストであれば「ありがとうございました~」と言いながら会場を後にするそうだが、ケントモリさんは、スタッフの方を見て、立ち止まり、「ありがとうございました」と言ってお辞儀をしてから会場を後にしたそうだ。このお礼をするときに「立ち止まるか/立ち止まらないか」の違いが感謝の気持ちの大きさを分けるのだ。こんな小さな意識の違いで聞き手への伝わり方は圧倒的に変わる。

この話を聞いたときに、ふと自分の頭にある言葉がよぎった。

マザーテレサの言葉。

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。

まさにこの言葉とも通じるところがあると思った。上の例でいうならば、思考や言葉への不注意から相手に対する行動が必ずしも良いものになっていなかったということだろう。

人間、相手の話を聞くことよりも自分の話をする方が心地良くて、ついつい話の聞き方が雑になりがちであるが、だからこそ謙虚に、相手をリスペクトする姿勢が大切であろう。そしてその思考・意識が言葉となり、行動へと変わる。

話すときもダラダラと話すのではなく、相手の時間を頂戴しているわけだから簡潔に結論から述べることを意識しなさいと平野さんは仰っていた。

自分自身も最近は聞くときの姿勢や心構えがあまり良くなかったと反省している。

平野さんのお話を聞いて4つのことを意識しようとおもう。

・人の話を聞くときは、何か良いところ、学べることがきっとあると思って真剣に相手の目を見ながら頷く。

・いつどんな時であれ、素直さと謙虚さ、人に対するリスペクトを忘れない

・人間性が磨かれると自然と「話す」「聞く」ことは上手くなり、人から愛されるようになる

・話すときは、相手の知識レベルや能力に応じた言葉の表現、接続詞は少なく、気持ちよく聞いてもらえるよう努力する

また平野さんから紹介して頂いた言葉のいくつかも紹介して終わりたい

・仕事を始めてからの3年間は、「好き/嫌い」や「やりたい/やりたくない」ではなく、任された仕事を全力でやり遂げること。向き/不向きを決めるのはあなたではなく、周囲の人間である

・人生で大切なことは、いかに自分が嫌いなこと、苦手なことに首を突っ込むことができるのかということ by堤監督

ではまた!

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