ほぼニート女がゾウに乗りたくてタイに1週間ひとり旅した話。 ~水かけ祭りと、ニセ韓国人と、ときどきマフィア~ 【その12:完結編】

前編: ほぼニート女がゾウに乗りたくてタイに1週間ひとり旅した話。 ~水かけ祭りと、ニセ韓国人と、ときどきマフィア~ 【その11:さよならバンコク】
後編: ほぼニート女がゾウに乗りたくてタイに1週間ひとり旅した話。 ~水かけ祭りと、ニセ韓国人と、ときどきマフィア~ 【その13:女ひとり旅のススメ】

ひとり旅は、ひとりじゃない。

ひとりで見ず知らずの外国に行くことは、

真っ暗な道を懐中電灯で足もとを照らしながら歩くのと似ていた。

遠くを見ようとしても光は散らばるばかりでよく見えない。

前後左右もわからないような暗闇をどうやって進んでいけばいいのだろう。


そんなスタートだった。


一歩一歩踏みしめて進んでいくとぽつぽつと光が出てきて、

暗闇がどんどん明るくなっていくような実感があった。

それは街の人たちや同じように旅をしているパックパッカーが明かりを分けてくれたからだ。


どんな小さなことでもうれしく感じた。

ひとりだったから人に対する感謝の感度が高くなっていたからだと思う。

わからなくなったらすぐ聞いた。困ったら助けてもらった。


不安だったものが少しずつ溶けていく。

話しかけられてばかりいたが、話しかけるようになっていた。

自然とコミュニケーションと笑顔が増えた。


もちろん会話力に自信は無かった。

だから辞書を使ったり、絵を描いたりしてみた。

「あなたと話したいんだ」それだけ伝わればよかった。


ひとりだけどひとりじゃない。そんなひとり旅だった。


なにも変わっていないが、少しだけ強くなった

だれかと一緒に旅をしていたら相手に依存して、いく道も任せていただろう。

私はそんなやつだ。

この1週間で勝手に自立した気分だったが、

よく考えるとずっと誰かに助けてもらっているから変わってない。

やっぱり私はそんなやつだった。


この旅で私はほんの少しだけ強くさせてもらった。

ポカポカと温かい小さな自信が、一歩踏み出す手助けをしてくれている。


日本を旅行している外国人に道を聞かれたら案内をするようになった。

自分がタイでしてもらって一番うれしいかったことだったからだ。

あの時のお返しのような気持ちで手伝っている。


ゾウに教えられたこと「いま、生きてる?」

たまたま見ていたテレビをきっかけにゾウに会いにタイへ行った。

ゾウは遠くから来た人間を受け入れてくれたし、愛情を持って接してくれた。

私にはその優しさがつらかった。


「いま ほんとに たのしい?」

「いま ほんとに すきなの?」

「いま ほんとに いきてる?」


そう問われているような気がした。

ゾウはよくわからない未来に期待しない分、今を一生懸命生きていた。


今は、過去であり、未来でもあった。


タイに行く当日、急に怖くなって遺書を書こうと思った。

しかし「遺」の漢字が出てこなくて、ひらがなで「いきる」と書いた。


その時はなんとなく書いていたが、

目標もなく漂うように毎日過ごしていた私が、

心の奥底で切望していたことだったのかもしれない。


過ぎていく日々に退屈していたら聞いてみよう。

「いま、いきてる?」




タイから帰国後

私は続けていたバイトをやめた。

ほぼニートのような目標がないフリーターをやめて、

ちゃんと会社で働いてみたいと思った。


そして1カ月後、都内の広告会社に入ることになった。



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ほぼニート女がゾウに乗りたくてタイに1週間ひとり旅した話。 ~水かけ祭りと、ニセ韓国人と、ときどきマフィア~ 【その13:女ひとり旅のススメ】

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