第七十五章 シンプルライフ
第七十五章
「シンプルライフ」
人の生きていく原則はシンプルであるべきだ。私たち受験指導の現場では
「私、ずっと英語講師になりたかったんです」
「学校で左翼思想を教えれば、日本を変えられる」
といった講師や教師がたくさんみえる。あるいは、
「このタブレットを学校に納入できたら莫大な利益が得られる」
「校長会で現金をバラまけば、この教科書が採用される」
という賄賂戦略も先日報道されたばかりだ。
しかし、いずれも大人の論理ばかりで生徒の視線が見られない。
「英語の話せる教師が英語を教える」
こんな当たり前で、シンプルな原則など誰の視野にも入っていなかった。それで、文科省も業を居煮やしたのだろう。
文部科学省は13日、国際的に活躍できる人材を育成するため英語教育に関する実施計画をまとめた。中学校の英語授業は原則として英語で行い、高校の授業では発表や討論などに重点を置き卒業時に英検2級から準1級程度の英語力を身に付ける目標を設定した。2018年度から段階的に導入し、20年度の全面実施を目指す。
(時事ドットコム「:英語での授業、中学から=20年度実施へ計画策定-文科省」より 2013/12/13-12:28)
文科省は13日に「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を発表。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、教育体制整備する考えだ。小学校5・6年生で英語を正式な「教科」とすることや、教員の「英語力」を公表する仕組みを設けることも盛り込まれた。英語教員には英検準1級、TOEFL iBT 80点程度等以上を求める。
生徒に高校卒業時に「英検準1級レベル」を身につけさせたいと言いながら、英語教員に「英検準1級レベル」を求めるってどういうこと?2級や準一級に生徒を引きあげるには、教師は1級であることが当然だと思う。すでに、教師が生徒に負けている事態も多発していることをバラしてしまった。
前から何度も書いているように、私のいたローガン中学校ではクラブ活動がなくて午後2時半には消灯で学校は真っ暗だった。クラブ活動が健全な人格形成に必要不可欠のように言うのは間違い。
すでに給食も、アレルギーの子は別献立と配慮している。クラブだって、全員に強制したら登校拒否を誘発することもあるだろう。イジメの温床になることもあるだろう。
「やりたい子だけがクラブ活動をする」
どうして、こんなシンプルなルールさえ守れないのだろう。
「クラブ活動がなくなったら、シューズが売れなくて死活問題」
だとか、
「早く帰宅されたら、ゲーセンに行って不良が増える」
とか、教育と無関係の大人の事情ばかりが話題にのぼる。そんなことで、マジメな生徒の勉強時間を削られたらたまらない。隣町が自由化しているのに、地元だけ強制では公平な受験競争など、できるわけがない。
四日市合格者数
H27 H26
1、陵成中学校(桑名市) 16 23
2、光陵中学校(桑名市) 24 9
3、藤原中学校(いなべ市) 6 6
4、東員第一中(員弁郡) 3 4
5、員弁中学校(いなべ市) 1 4
高木教育センター 2 3
6、 大安中学校 (いなべ市) 4 2
7、東員第二中 (員弁郡) 1 1
北勢中学校(いなべ市) 1 1
こんな地区に生まれたのが、運の尽きなのだろうか。「桑名市」に生まれるか「いなべ市」に生まれるかを、子供たちは選択できないが、その後の学習環境はまるで違ってくる。
時々、コンビニでアルバイトをしている塾の卒業生に会うことがある。もう30歳を越えているだろう。アルバイトの不安定かつ低い給料では結婚など出来ない。なぜ、そんなことになったのか。Fランク大学では就職活動で負ける。では、なぜFランク大学になってしまったのか。それは、Fランク高校だったから。では、なぜFランク高校だったかというと、中学校で成績が良くなかったから。
確かに、アフリカの貧しい国に生まれるか、戦争だらけの中東に生まれるか、平和な日本に生まれるかは運次第。しかし、同じ日本に生まれて、同じ税金を払いながら、受ける教育に大きな差があるのは許されることだろうか。
中学校の左翼の先生は、中学3年間だけ
「クラブと勉強の両立だ」
と叫んでいればいい。その後の生徒たちの人生に責任を持つつもりはないのだから。自己満足していればいい。
しかし、生徒たちはリアルな競争社会に生きているのだ。妄想の社会ではないのだ。クラブの強制だけは、やめて欲しい。
生徒の将来をどう考えているのだろう。たぶん、何も考えていない。クラブ活動の中でイジメを受けて自殺したらしい子の報道があった。教師は、自分の子が自殺しても同じ主張を続けるのだろうか。
しょせん、他人ごとなんだろうと思う。
「何もしないこと」
これが公務員の至上命題らしい。
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