【家族の決断】脳出血で寝たきりになった父(障害1級、要介護5)とバーベキューした話(11)

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前編: 【父のリハビリ】脳出血で寝たきりになった父(障害1級、要介護5)とバーベキューした話(10)
後編: 【家探し】脳出血で寝たきりになった父(障害1級、要介護5)とバーベキューした話(12)

※ この話は、こちらの続きになります。(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)


 父を家に連れて帰りたいということについて、妹であるあいとあきへの相談が遅れたのには理由があった。

 ひとつは、これというショートステイと訪問看護事業所が見つかっていないこと。

 もうひとつは、母が私に、「あいは、介護は大変だから私にさせたくないってさ」と言っていたことだ。


 あいは、特別養護老人ホームで10年間介護福祉士として勤務していたのだ。

 彼女は、異業種の私には想像もつかない苦労をしてきたのだろう。

 でも、それでも、父の在宅介護について、理解を示してほしかった。

 それに、介護経験がない私が何を言っても説得力にかけてしまう。介護プロであるあいの言うことなら、母も素直にきくように思えた。


 母と、あいと娘のういちゃん、あき、私とふうで、病院の談話室に行く。

 そして、ふうを膝に乗せて椅子に座った私はせきを切ったようにしゃべりだした。




「こんなことを言うのは身勝手かもしれないが、私はお父さんに家に帰ってほしい。

病院や施設よりも、在宅の方がお金がかからないというのもあるけど、それだけじゃない。

私はずっと、お父さんの塾の手伝いで苦労してたお母さんに、楽をしてほしかった。

でもお父さんが胃ろうを選択したのは、きっと家に帰りたいから、お母さんと一緒に家で過ごしたいからだよ。

 娘としては、お父さんとお母さんの、両方が幸せになれる道を探したいんよ」


 母の目から不安の色は消えない。

「でも、夜中とかに脳出血を起こしてしまったらどうするの? 気づかないかもしれない……」

「でもさ、お父さん昔から、寝ている途中に息が止まるってよく言ってたじゃない。今までだって、その可能性はあったんだよ」

 父は若い頃から、眠っているときに息が止まり、深く眠れない……不眠症を抱えていた。

 そして眠るのにアルコールを必要としていた……それも脳出血を引き起こした要因のひとつかもしれない。


 結局、睡眠時無呼吸症候群によるものと判明し、治療によって改善できたのは、50代を過ぎてからだった。


 


「もしお母さんが気づかないときに脳出血を起こしてしまっても、誰も責めないよ。お父さんも、きっと責めない」

「本当に?」

「うん。当たり前じゃない。

それに、家にいたら、ふうもういちゃんも、長いことお父さんのそばに居られるよね。

病院だと、どうしても退屈しちゃうし、特にふうは騒いじゃうから、私も叱ってしまうし、長い時間いられない。

「……」

「家だったら、TVも気兼ねなく見られるよね……」


 父は、TVが好きだった。

 毎週日曜日のお昼は、NHKで囲碁の番組。

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