第八十五章 黒歴史

第八十五章

「黒歴史」

 ノイローゼで入院という結末だと言えば、私の高校時代がどれほどの黒歴史なのか分かってもらえるかもしれない。しかし、その黒歴史がなければ英語や数学にこれほどこだわることはなかった。

 だから、結果的には

「あれでよかったのかも」

 と思っている。もちろん、二度とあのような生活はごめんだ。人に強制されることにトラウマがある。しかし、それもアメリカ生活を通して

「私が正常で、周囲が異常なんだ」

 と悟った。

絶対に失敗しない人というのは、何も挑戦しない人のことです。byイルカ・チェース

・大失敗するものだけが大成功を収める。byロバート・ケネディ

  受験指導をさせてもらっていると、8割ほどの生徒は失敗をおそれてチャレンジをしない。

「どこでもいいから、合格できそうなところを受ける」

 と言う。1割ほどの生徒はチャレンジをして、失敗して、トラウマを抱えたまま大人になっていく。そして、1割ほどはチャレンジをして合格しようが、失敗しようが努力を継続していく。

  私は中学生で英検1級を持っている子を指導させてもらったことがある。私が1級に合格したのは30歳だ。京都大学の医学部に合格した子を指導させてもらった時は、私が10年かけて身につけた数学レベルに3年で追いついた。

  私の指導させてもらっている生徒の中には、私よりはるかに才能に恵まれた子が多い。それは、四日市高校にいる時も、名古屋大学にいる時も、痛感させられたことだ。

  しかし、私は歩みを止めるつもりはなかった。大学院の試験に口答試験で落とされ、学者の道を諦めた。通訳ガイドの国家試験に合格して通訳をしようとして、諦めた。見方によると、挫折だらけの人生だ。

 それが、今になっては

「これでよかったのかも」

 と思っている。私は才能に欠けるので、才能のある人の3倍の努力をしないと追いつかなかった。新幹線と鈍行くらいの違いがある。ところが、受験指導の場では鈍行できた人生がプラスに働くことが分かった。どこでつまづくのかよく分かるのだ。

  学者や、俳優や、通訳や、いろいろチャレンジして挫折してきたために、平均的な講師より経験値が高い。英語と数学の両方を身につける努力をしてきたために、生徒の方の要望により広く応えることができる。

  トラブル、挫折、失敗の真っ只中にある時は、絶望感にとらわれるのが当たり前だ。しかし、トンネルは掘り続けたら、いつかは貫通する。そう信じられるか、否か。それだけの違いだ。

 タフで、時には傲慢で、鈍感か無神経くらいでちょうどいい。変だと言われ、誹謗中傷を受けるのは当然くらいに思っていた方がいい。攻撃されても気にせずスルーできるくらいの図太さも必要だ。それでいいのだ。

  なぜなら、失敗で歩みを止めた人たちは他人も引きずり落とそうとする。塾講師でも、自分が出た大学より上のランクの大学を受ける生徒に嫉妬するちっちゃい講師が多い。自分では指導しかねる高学力の生徒の存在が許せない哀れな講師もいる。

  結局、誰が何を叫ぼうと書こうと、いつの世も大多数の人は怠け者でチャレンジをする人は少数派だということ。そして、その怠け者を避けるために挑戦者は耳をふさいでしまい変人扱いを受けること。これは変わりないようだ。

 誰でも黒歴史を抱えているが、それをネガティブに変えるか、ポジティブに変えるかは本人次第なのだ。

  東大や京大は、今年から「変人」を受け入れる入試制度を始めるようだ。

東京大で「学部別募集」、京都大では「飛び入学」も

いよいよ、あの東京大学が「推薦入試」を、京都大学が「特色入試」を新たに実施する。将来の大学入試のあり方を先取りする方向転換だ。日本の大学の“頂点”が導入する「一般入試で測れない能力を丁寧に評価する」入試とは?その中身や特徴を見ていこう。

※この記事は『螢雪時代・2015年8月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)


将来の大学入試のあり方を先取りする“新エリート選抜”

2016年度から、東京大では一般入試の後期日程を募集停止して「推薦入試」を、京都大では「特色入試」を全学部で導入する。その概要を、東京大は表2、京都大は表3に掲載したので、参考にしてほしい。
 東京大はセンター試験(以下、セ試)を課す推薦入試で統一。一方、京都大は学部・学科によりAO入試・推薦入試・後期日程と異なる。しかし、高校での活動・成果や入学後の適性を、書類審査や長時間の選考などで、丁寧に評価する選抜を目指す方向性は共通している。
 募集枠こそ東京大が100人、京都大が約110人で定員の3~4%程度と少ないが、両大学とも、少なくとも新制大学移行後は、通常の受験生に対し一般入試のみで選抜してきたため、大きな方向転換といえる。そして、この2つの入試の重要さは、将来の大学入試のあり方を“先取り”している点にある。
 2019~20年から、大学入試のしくみは大きく変わる予定だ。高校教育と大学教育の連続性(高大接続)を重視し、セ試に代わる「1点刻み」でない共通テスト「高等学校基礎学力テスト」「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)の導入や、一般・推薦・AOの区分の廃止、多面的・総合的な評価を重視した選抜、英語における外部検定利用の促進など、大幅な入試改革の提言が、昨年末に中央教育審議会からなされている。
 東京大・京都大の新方式は、「高大接続」を重視し、世界的な大学間の競争が激化する中、主体的、能動的に学ぶ突出した才能の獲得を目指す点で、こうした変革の先行事例といえるのだ。

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