第九十六章 電卓、電子辞書、スマホ

第九十六章

「電卓、電子辞書、スマホ」

  電卓が市場にあらわれた頃、学校の先生は苦い顔をした。

「電卓など使っていたら計算能力が落ちる!」

 と言って使用禁止を言い渡した先生もいた。

  電子辞書が普及した頃も、英語の教師は

「電子辞書の学校への持ち込みはゆるさん。紙の辞書の方がよい」

  と言う人もいた。

  スマホに人気がでてくると

「変換ボタンばかり押していたら漢字を書けなくなる」

 と言った。

 しかし、一方では

「計算能力が数学の力ではない」

「辞書など早くチェックできればいいのだ」

「漢字が書けることが国語の目標ではない」

 と言う人も増えてきている。時代が進歩していくときは、必ず抵抗勢力があらわれる。ソロバンの名人や漢字愛好者は悲しいのだろう。しかし、時代の進歩を止めることは誰にもできない。

  産業革命の頃から、人間の仕事を奪われると騒ぐ人たちはいた。しかし、そのような声は歴史の闇に消えていく。昔なら、計算ができて、漢字が書けたら「頭がいい」と評価されたのだろう。しかし、今は違う。

「そんなことはコンピューターがやってくれる」

 のだ。四日市高校や京都大学に合格できる子は、計算のできる子や漢字をたくさん知っている子ではない。機械ではできない思考ができる子なのだ。時々、円周率を何千桁までそらんじることが出来るとか、全国の駅の名前を全て知っているとか、いろんな人がいるが、そういうことを賢いとは言わない。

  少なくとも、難関校に合格できる能力とは異なる。そんなことは検索すれば一発で分かるからだ。

  塾でもたまに時代遅れのクレーマーがいる。たとえば、テストをすると採点ミスが避けられない。すると、

「こんないいかげんな採点ミスをする塾は許せない!」

 と激怒して塾を移っていく方もみえる。しかし、記述式の問題は採点ミスが避けられない。ミスをなくすには、センター試験のように機械に採点させるしかなくなる。しかし、これは教育効果に問題がある。

採点ミスのマイナスと、記述式問題の練習による教育効果のプラスを考えるとプラスの方が大きい。賢い子は、そこを理解しているがクレーマーは人間が機械になることを求める。機械のような人間が理想なのだ。

  残念なことだ。時代の求めている方ではないので、そのうち淘汰されるのだろう。

  世の中のありようが理解できない人を待っていられるほど世の中は甘くない。私の塾は、三重県の小さな個人塾だ。しかし、Youtube に動画を投稿したら合計38万回の再生数になった。アメブロの「受験生」のランキングは1位となっている。北海道から九州まで通信生の申し込みがある。

  今年は、京都大学に10名以上が挑戦します。

  三大予備校「河合」「駿台」「代ゼミ」の一角だった代ゼミが校舎を7割閉鎖した。三重県でも今年、最大の業者テストであった「三進連」が倒産した。受験業界に関係のない人たちは驚いているが、業界にいると不思議ではない。

  私は名古屋の大規模塾で勤務していたので分かるのだ。恐竜のように図体が大きくなると時代の流れについていけない。京大を受験するような優秀な子たちは、すでに時代の流れを感じ取っている。そして、ネットを使って次の流れに乗る。

  代ゼミ、20校閉鎖 浪人生減で全国7校に

2014/8/23 11:04

フォームの終わり

 大手予備校「代々木ゼミナール」を運営する学校法人高宮学園(東京・渋谷)は全国27カ所の校舎を7カ所に減らす方針を固めた。20カ所では2015年度以降の生徒募集をやめて休校し、事実上閉鎖する。施設の活用法は未定という。代ゼミは大学受験の浪人生を主な対象に運営してきたが、少子化や現役志向の高まりで浪人生が減り、業績が悪化していた。

  私が高校生の現役なら「なんとなく」河合や駿台に安心感を持つ。通信教育ならZ会だろうか。何も好き好んで三重県の個人塾の無名講師に添削を依頼などしない。ところが、ネットに京大を7回受けた、英検1級だ、塾生が京大医、阪大医、名大医に合格したと公開したら申し込みがどんどん増えてきたのだ。

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