高木教育センターのありふれた日々(10)

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  浪花節が好きな日本人にはウケないだろうと思ったが、私の間違いらしい。

第九十八章

「センター試験が近い」

  受験生にとって、センター試験の負担は大きい。数学は二次試験の論証とは全く別物という印象。つまり、準備はダブルになる。なぜなら、二次試験は解法の論理も記述も自分が全て書くことになる。

  ところが、センター試験は穴埋め問題。誰かが解いた論理をなぞっていくことになる。これって、ほとんど数学と言えない。だから、私の指導させてもらっている優秀な理系女子は

「センター試験は嫌い。二次試験の方が楽」

  と言う。

  では、そんなセンター試験はどうして存在しているのだろう。東大でも京大でもセンター試験の合否に与える影響は小さい。配点が低いからだ。当初は

「一期校と二期校の格差を無くす」

  という話だったが、全く機能していない。記述式の問題は採点が難しいからマーク式にしてあるだけ。受験生や保護者の苦情をのがれたい。それが実態。それなのに、受験料が18000円。センター試験対策の、河合・駿台のマーク模試の受験料は5000円前後。3倍以上の法外な価格設定。競争相手がいないとこうなる。

  中身はヒドイし、受験料もひどい。15000円の安い方にしても、受験者が45万人いたら毎年67億円以上が入ってくるのだから笑いが止まらないだろう。私もそんな商売してみたい(笑)。  

  このテストを受けないと大学生になれないのだから、完全に「利権」だ。

  民間の塾や予備校はこうはいかない。生徒に何かしらのプラスがなければ利用してもらえない。私の塾で言えば、京大を7回受けた私の経験値を提供して合格率を上げてもらうわけだ。

  英検1級や京大の成績開示を公開することも必要だった。合格実績を公開することも必要だった。何もしなければ倒産、夜逃げ、一家離散、首つりなども覚悟しなければならない厳しい世界だ。

  だから、ぬるま湯の世界で生きている公務員の教師と、身を削って生きている塾講師では力量がまるで違う。生徒に

「学校の先生と、塾の先生のどちらを信頼しているの?」

 と尋ねてみれば、すぐその評価は分かる。いずれにせよ、センター試験は内容がヒドイ。だから、廃止されるのだろう。

  しかし、実態は「共通一次試験」「センター試験」「学習到達度テスト」と看板の架け替えを繰り返しているだけだ。東大や京大は優れた生徒を選抜しないと生き残れないので、こんなテストの配点は少なくするわけだ。

  そもそも、大学間の格差など解消できるわけがない。ラーメン屋でもうまい所とまずい所がある。腕の良い医者もいるし、ヤブ医者もいる。高校や大学だけが横並びになることなどムリだ。

  自分のクラスを思い起こして欲しい。どうしようもない生徒がいたのではないですか?絶対に関わりたくない生徒。そういう人間の存在を前提にしているから、監視カメラがあちこちにあるし、警察もいるし、入場のチェックもする。

  公立の学校が「愛」「絆」「助け合い」を強調するのは、

「すべての生徒は無限の可能性がある」

  という妄想のせい。そのために、犯罪性向のある生徒と将来のノーベル賞候補を「強制的」に近づけて助け合うように指導する。これは、生徒にとって迷惑なだけでなくイジメの発生を許し、最悪の場合は死者がでる。

  もうそろそろ現実を見るべき。強制クラブや、強制的な班づくりは自由化すべき。現実を勝手に美化して指導するのは避けるべきだ。危険だから。

  また、利権の温床でしかないセンター試験も学習到達度テストも要らない。各大学が自由に自分の欲しい学生を選抜すべき。決して、格差解消などという実現不可能かつ、やってはいけない試みはやめるべき。

  競争があり、格差があるから人間は努力するわけだから。

第九十九章

「1%の支持者がいたら、それでいい」

  私が一番苦手な生徒は、

「それは、こうしたらうまくいくよ」

  と言うと、

「佐藤先生は、違うことを言った」

 というもの。その話されたことを予測したうえで提案しているのだけれど、分かってもらえない。自分でどちらの言うことが良い解き方かを判断してもらうために話していても、自分で考えることをしないで「先生」の権威にすがる。

  先日も

「ドラゴンイングリッシュに、たとえに本文に『しかし』と書いてあっても、前後の内容が逆説になっていなかったら but ではなくて and にすべきと書いてある」

 と言われた。よく勉強していることは感心なのだけれど、鵜呑みにしてその是非を考えない。私は

「英作文は翻訳なので、勝手に解釈して接続詞を変えるのは越権行為だよ」

 と言っておいた。プロの作家や研究者が練りに練った文章を

「前後関係から、この接続詞は別のがいい」

 と決めつけて変更するのは、作家の意図を踏みにじることがある。高校生にプロの文章を評価させることが英作文の問題の目的ではないのだ。

  私はこのスタンスで英検1級に合格し、京大二次でトップクラスの8割をたたき出してきた。正しいスタンスのはずだ。もし、目の前に

鈴木先生は、名大卒、京大二次で8割正解、英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級、アメリカで教師経験あり。佐藤先生は、京大卒だとすると、どちらの言うことを信用するだろうか。

  どちらとも決められないだろう。

  ところが、一方の主張が参考書の形をとり製本されて書店に並ぶとその権威は圧倒的となる。大規模予備校の看板があると更に強力になる。一匹狼の田舎の塾講師の私の話など誰も耳を貸さない。

  いや、誰もではない。私を直接知る、地元の難関校トップの子と通信生の子たちは信用してくれる。

  先日も、授業中に

「先生、この模範解答は絶対におかしい!」

  という声があった。私がしばしば書かせてもらっているように英語が話せない人が英語を教えているのが現実だ。参考書の模範解答を書いている人は、学生アルバイトのこともある。ほとんどの人がその不適切さに気づかないが。

  私の指導させてもらっている優秀な理系女子は騙せない。そういう子たちは、たとえ書店で売っていようが大規模塾の講師が出版していようが関係ない。自分で判断するからだ。

  私の Youtube の動画が合計38万回再生されたり、アメブロの「受験生」ランキングで1位になるのは、私の書いていることに同意される人が多い証拠だ。150万人の大学受験生のうち、1%の人が同意してくれたら1万人を超えるからね。

  私の塾は2教室あり、その近くには6つの公立中学校がある。他の中学校からも通ってもらっているが、1%の支持者で経営は成り立つ。もちろん、もっと来ていただいているが。

  すべての人の支持などありえない。私が以前勤務していた塾では、授業が始まっても遅刻者が多いので、リスニングの音声を途中で止めたりした。授業が始まっても、学校で教えあうよう指導するものだから私語がとまらない。

  すると、賢い子たちは呆れて内職を始める。そして、最終的に

「勝手に勉強するだけなら塾に来ても仕方ない」

  と塾をやめる。だから、塾はどこでも誰にも好かれる戦略は取らない。上位者向けの塾、底辺の子のための塾、しつけを重んじる塾など、さまざまに分業になるのが普通だ。

第百章

「祝!百章」

  最初にブログを書き始めたとき、

「毎日書くことなどあるわけがない」

  と思った。ところが、書き始めたらいくらでも書くことがある。自分のやるべきことを整理するにも役立つし、記録してあとで見直すのも有益だし、読者数が上がってくると人の役に立っている実感もある。

  何より「楽しい」のだ。デザインを考え、動画と組み合わせ、参考書に論評を加え、エッセイを投稿し、画像をアップする。書くことも、英語、数学、授業、経営、少林寺拳法、ニュースなど多岐にわたる。

  私は英語の資格試験をたくさん受けたし、京大7回、センター試験10回、京大模試10回、Z会は8年やった。アメリカでの生活経験もあるので、成績を上げるノウハウや合格に必要な情報を提供できる。

  授業中の中学生、高校生のことや、その保護者の話などネタになりそうなことは無数にある。3年も続くと思っていなかった。そろそろネットの中での認知度もあがり、誹謗中傷も増えたが、電子書籍のオッファーもあった。通信生も順調に増えている。

  そのお陰で、合格実績も右肩あがりで感謝している。インターネットは、思わぬスピードで広がりこんな情報発信が可能になるなんて5年前は予想できなかった。ましてや、動画38万回、アメブロ「受験生」ランキング1位なんて、想像も出来なかった。

  真面目にやっていると、見ている人は見ているものなのだと自信を深めた。感謝している。今後も地味に真面目にやっていきたい。真摯にやっていると世間の評価は1%程度らしいから。

  学校関係で言ったら、日本を不況から脱出させるためには賢い子を育てなければならないのに、画一的な指導ばかりする。

  • イヤだと言うのに無理やり「強制クラブ」

  • 自分の勉強をしたいのに「教えあい」教育

  • 授業は「落ちこぼれ」に配慮し「浮きこぼれ」は無視

  • テキストは教科書準拠の最低レベル

  • エロ教師の名前も写真も隠して守ってばかり

  • この状況で世界のエリートと、どうやって競争するのだ。ハンデがありすぎるだろう。大学は旧帝中心に国立のエリート大学がある。三重県には県立の四日市高校というエリート高校がある。

    問題は、中学校だ。市立中学校はガタガタだ。勉強しようと思っても、教師は100%日教組の左翼教師。生徒はクラブばかりやって、勉強放棄。「全国学力テスト」でもビリから数えた方がはやい。隣の「桑名市」では15名ほど合格する四日市高校合格者が「いなべ市」では2名くらい。

    これでは優秀な生徒たちは、救われないではないか。

      見ていて気の毒なのだ。才能豊かなのに、発揮する場がない。

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