溢れたミルク

後悔は捨てた
君が居なくなってただ 悲しいよ

夢を見ているようだった
お気に入りのソファーで身体を丸めて

振り返ろうとした
しかし、何故か 振り返るべきではない
と第六感が私に語る
その一瞬の後 私は振り向いた

あの子は
お気に入りのソファーの上に
命を 身体から溢していた

揺さぶれば 目を覚ますだろう
揺さぶれば まだ間に合うだろう
だが 溢れた物が戻ることはない

私は後悔をした 全てに
振り返らなかった あの瞬間を
過去 もっとしてあげるべき事を
過去 もっと出来たはずの事を
針を飲み込むような後悔の悲しみ

ふと
天に召された者にとって
この後悔は
天路への重荷にもなるのではないか?
そう 考えた
取り戻せない後悔は
先立つ魂にとっては不毛であるし
寧ろ
精神的な自傷行為を繰り返す様を見たら
「心配で行くに行けないよ」
との声が聞こえそうでもあった

私は 
後悔の悲しみに 
心を占領させてしまうのを止めた

純粋に
「君が居なくなって寂しいよ」
という悲しみだけを 心に抱くように努めた
「君と一緒じゃなくて寂しいよ」

後悔は 捨てた

だからこそ 今 私は
空腹を感じたならば 満たそうとし
タバコも吸うし トイレにも行くし 
朝になれば起き 夜が来れば寝る
夢さえも見ては 幸せも感じる
ただ
いつもより 吐き出す煙は長くなった

人は後悔を感じては
自分を責めることが多い
たしかに
後悔から学ぶことも
次に生かせることもある
後悔は努力しているからこそでもある
失敗は努力する者の特権と同様に

がしかし
後悔に心を埋めてしまえば
本当の感情さえも見つけられず
また感じられなくなることもある
相手にも、自分にとっても大切な感情を

そう 私は学んだ

p.s
君が居なくなって悲しいよ 心から
ただ それだけさ

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