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15/12/1

ズッコケ親子の受験戦記:8 夢の屋台骨

Image by Olia Gozha

7.夢の屋台骨

ダンボール詰めにした荷物を、日本からポルトガルまで船便で送ると2ヶ
月ほどかかる。 帰国滞在も終盤に入ると荷造りにいそしぎ、書籍は全て
船便で送るのだが、この時に 出会った運命のダダダン、「タダで大学を
卒業させる法」、これ一冊は、 手荷物の中に入れポルトガルに到着次第、
もう一度じっくり読むことにした。

この本を、娘は肝心の経済問題解決策よりも、文章が面白い、書いてい
ることが面白いと、 ガハハ笑いながら読んでいたのでありました。
頼むぜ、娘^^;

吉本氏もこの本で言及している「朝日新聞奨学会」、そしてわたしの若き
日の体験談(STORYS.JP  5)1964夏 江東区の夕日)も耳にしていた
彼女、真っ直ぐそちらの方法を考え始めました。
(これ、しんどいのであるよ、娘。)

確固たる方法が見つからないうちは、勉強に打ち込むことができない故、
すっかりこの方法、新聞配達苦学生を選択するつもりでいる娘です。それ
を横に、貧しい母は うんと考えた。 夫が首を縦に振るためにはいかんせ
んと、ひねってできあがったのが以下の戦法。
         
①夫が望むポルトガルの大学に入学して自宅通学しても、お金はかかり
 ますよ。(ポルトガルの大学学費は当時、年間900ユーロ=13万円足
 らず。こちらの大学は入学金なし。)
       
②ポルトガルにいても、彼女のための出費はこれまでと同様だとは思え
 ない。お小遣いだっている。
          ↑
 こうやってなんとか夫の財布からくすねようとしているのが見え見え。
       
 ③わずかではあるが、週一回の母親の職場と自宅日本語教師の収入
   を日本での生活費に回す。
       
 ④受験料、入学金は、数年に一度の帰国を楽しみに、ちびりちびり貯
  めてきた 母親の虎の子をあてる。

これで臨んでも、物価の安いポルトガルから行く場合、日本での最低生
活費には 不足も不足^^;まして授業料の域には手も足もでません。
この時点でもまだ、わたしたちは旧育英会奨学金が海外在住者にも適
用するとは、知らなかったのであります。不足分は、本人が働いて稼ぐ
しかありますまい。

我がもいける娘には、父親を説得するための智恵を少しつけました。

「間近になって、突然日本へ行くと父ちゃんに言ってはならない。ショッ
クが強すぎる。 今より2年かけて、自分の日本行きの夢を会話談話の
中で日頃から徐々に徐々にと 小出しに話していくこと^^」

ポルトガル人は本当に家族の絆が強いのです。子を愛するが故、手元
に置いておきたいとの夫の願いを奪い取ろうと計画する、あぁぁ、わたし
は悪い妻です。

しかし、こっそりしていたはずが、夫はやがて我ら二人の陰謀を感づくの
でありました。わたしにこう言う日が来るのです。
「ボクは知ってるよ。君達二人がこそこそ何かやってるのを」
@@が~~ん!

こうして、まだまだ穴ぼこだらけの経済計画ではありますが、なんとな
くできあがった 屋台骨。日本では高校1年の夏が終わり、ポルトガル
では高校2年の新学期に入ります。 次なる目標は・・・・
このままの成績じゃいかんぜよ!!
ポルトガルでの高校での成績アップ、そして日本国語ブラッシュアップ
猛烈挑戦!

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