動物虐待を乗り越えて・・・ 引き取った犬は 頭をなでられることが嫌いでした


幼少の頃より、犬を飼っていました。
脱走して行方不明になった犬もいれば、子を産み育て立派な親になった犬もいます。

あれは、確か、チコの孫 チャムが亡くなってからしばらくした頃でした。

近所で鳴きまくっている柴犬を見かけました。
そばではおばあさんがなんとかなだめすかそうとしていますが、なかなか鳴き止むことはありません。
おばあさんは柴犬にかなり手を焼いているようでした。
理由を聞くと、以前は息子さんが飼っていたそうですが、仕事で引っ越ししてしまったためにおばあさんが面倒を見ている、とのこと。
でも一日中鎖につながれて散歩をしているところを見かけたことはありません。

私は親に相談しました。

近所の柴犬を飼っていいかな?


チコの孫 チャムが亡くなってから空っぽの犬小屋に柴犬がやってきました。
初めは違う家にやってきたので、しばらくはおとなしくしていました。
鳴くことはなく、母親が作ってくれる餌も食べます。

ただひとつ、柴犬には問題がありました。

犬をかわいがる時に 頭をなでますよね。
大抵の犬は喜んで頭をなでてもらいます。

でも、柴犬は 頭をなでてやろうとすると

私の手を避けるように 頭を振りかぶってしまうのです。

何度もしようとして、諦めました。


念のため、柴犬の飼い主、おばあさんに事情を聞いてみました。

以前はどんな飼われ方をしていたのか。


息子さんは柴犬を幼少期に虐待していたのです。

言うことをきかないから、と何度も何度も殴ったそうです。


その恐怖感があって、頭をなでさせてくれないのだ、と

中学生の私は理解しました。


今まで拾ってきた犬を飼ってきたことはありません。

友人から譲り受けて、子を産み育て、孫までできて・・・

中途半端に育てられた犬を飼うのは初めての経験でした。

(野良猫を拾って飼うことは多々ありましたが)


頭をなでること、という

犬に対して当たり前のコミュニケーションができないことにショックを受けました。


でも、飼うと決心したので、この柴犬の心を癒やしてあげたい

頭をなでてもらうことがどんなに気持ちいいかを経験させてあげたい、と思いました。


ベタな名前ですが ポチ と名づけました(オスです)。


頭をなでることができないので

人間との信頼感を育てることから始めました。


話しかける

散歩に出かける

別の場所をなでる(体とか)


人間は怖くないよ

友達だよ 味方なんだよ・・・

そう思い続けて接してきました。
決して怒ったりせずに。
怒ることなんてなかったんですけど・・・
(すでにポチは3才くらいでしたから
特別な躾は必要が無いほどおりこうでした。)


がんばり続けて1年が過ぎた頃・・・

ポチはようやく頭をなでさせてくれました。


あぁ 良かった

やっと気持ちが通じたんだ!


頭をなでさせてくれた時は

うれしくて涙が止まりませんでした。


ポチは頭のいい子で

お手、おすわりの他

棒を投げれば持ってくるまで

成長してくれました。


その後、寿命を全うしてポチはその人生を終えました。


天国で元気にしているかな

もう誰かの元で生まれ変わって元気に暮らしているかな


ポチは 私に たくさんのことを教えてくれました。


ありがとう ポチ

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