高木教育センターのありふれた日々(11)

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スーパー (super-) の代わりに使った場合は、スーパーよりも程度がはなはだしいことを意味する。この場合、日本語ではスーパーを「超」、ハイパーを「極超」と訳す。たとえば、スーパーソニック (supersonic) = 超音速に対し、ハイパーソニック (hypersonic) = 極超音速はマッハ5以上の高速を意味する。

  たぶん、これは私の勘違いだろう。私が10年以上かけて学んだことを優秀な理系女子は3年でマスターしていく。才能がまるで違う。しかし、たとえ才能がなくても努力でカバーして彼女たちを指導できる今の自分が嬉しい。

  努力してきて、よかった。

  50代のおじさんが高校生に混じって京都大学を受けるなんて馬鹿げている気もしたが、やってきてよかった。自分の無力さを認識しつつ、それなりの学力があるので指導も絶妙の線を維持できるのだと思っている。

  奢る理由はないけど、卑下する理由もないから。

  数学の問題が解けず、冷や汗が出て、神経衰弱から入院騒ぎを起こした現役時代が夢のようだ。トラウマを脱出できて嬉しい。トラウマがあったからこそ、私は生徒に優しく接することができるのだろうな。

 でも、素行不良のギャルや暴走族、あるいは予習や復習をしない子はお断り。

  第百四章

「古典的集客術」

  橋下さんがタレントから政治家に転身したときに、世間は

「また、タレント候補か」

 と冷ややかな目で見たはず。しかし、アットいう間に「維新」は一大政治勢力になった。彼の手法は有名だが、敵を作って耳目を集めて自分の主張を世間に伝える。実は、この手法は古典的だ。

  織田信長はなぜ安土城をつくったのか。天下の耳目を集めて自分の権力を誇示するためだ。とにかく、天下の耳目を集めないと何も始まらない。それは、今も同じことだ。

  彼は、批判が集まると

「しめしめ。うまくいった」

  くらいにしか思っていないはず。本当の志は心に秘めておけばいい。とりあえず、一歩を踏み出す必要がある。

  私が塾を始める時、

「塾を始めます」

  と言っても誰も気にしない。生徒が集まってくれるわけがなかった。それで、私は当時としては珍しいコンピューターを使って成績表を作り、上位者の名前を張り出した。すると、

「競争をあおるな!」

 とか、

「えこひいきだ」

 と批判が集まった。私も

「しめしめ」

 と思った。ブログを始める時もそうだ。書き始めても誰も見てもらえない。当たり前のことだ。何十万もあるブログの中から探し出してもらうことさえ難しい。正直に書き続けたら誹謗中傷が始まった。

  私は内心

「しめしめ」

 と嬉しかった。誹謗中傷がくるということは、それだけ人の心に触れているわけだ。その証拠に、支持者も増えてアメブロ「受験生」ランキングの1位になれた。Toutube の再生回数が合計で38万回を越えた。

  もちろん、これで満足しているわけではない。しかし、一歩踏み出したわけだ。本当の志は、二歩目、三歩目が始まってから徐々に実現できたらいい。この世は、したたかでないと生き残れない。

  自分の敵も利用して知名度をあげる。それくらいの心構えは零細企業の社長でも持っている。問題は、政治家でも、塾経営者でも、

「何がやりたいのか」

 が大切。志が多くの人の役に立つのなら必ず支持者が現れるものだ。

「なんだ!この野郎!」

 と嫌われてナンボなのだ(笑)。

  民主主義の根源は

「みんなが違っている」

 ところから始まる。自由と平等。どんな生活がしたいか。何が好きなのか。それはバラバラだから、勝手にできる自由。どんな意見も平等。

  でも、本当にそうか。理系女子はそう思っていない。数学では絶対的真理がある。法則とか定理と言われるものだ。その絶対的真理が理解できない人がいることに呆れるわけだ。

  絶対的真理は身につける価値がある。だから、毎日継続的に勉強する。その大切な時間をダラダラと過ごす人を見ると

「バカじゃない」

 と思い近づかないわけだ。ここには自由も平等もない。数学の法則は議論の余地のない「正解」だからだ。だから、彼女たちの論理は明快で「賢い」と「バカ」の二分法となる。

  そのために

「変なヤツ」

 と批判を受けがちだ。橋下さんは弁護士だから、司法試験に合格している。司法試験のような資格試験や、受験では「合格」が良いことで、「不合格j」が悪いことで、こういう世界では自由も平等もない。

  合格したいのなら遊ぶ自由もクラブをする自由さえ制限される。平等もない。合格するヤツがえらい。落ちるヤツはダメなのだ。これはどの世界でも通用するルールだ。勝負の世界だからだ。

  勝負の世界で、自由と平等を叫んでも意味はない。だから、ここを突けば騒ぎになり耳目を集めることが可能だ。集客術のイロハだ。

  しかし、以下のような人が多い。

  • その集客術が知らないか理解できない。

  • 知識と理解はできるが誹謗中傷に耐えられない。

  • だから、利用できる人は限られる。

    本当は、こんな方法はよろしくない。時にはヒートアップして争いを生むからだ。大阪の状況を見れば分かる。しかし、人間は騒動や競争がないと進歩がないようだ。

    戦争はダメだが、ルールのある競争は必要らしい。

     

    第百五章

    「Mくんちの、不味いインスタント・ラーメン」

     受験指導をしていると

    「クラブと勉強の両立ができない」

     との悩みを受けることがよくある。そういう話を聞くと、私はMくんのことを思い出す。大学時代に私は貧乏学生だった。家庭教師のバイトの収入が生活費の大切な一部だった。それで、しょっちゅう掲示板に貼り出してある家庭教師の募集カードを見るため、学生課に通っていた。

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