【完結】脳出血で寝たきりになった父(障害1級、要介護5)とバーベキューした話(15)

1 / 9 ページ

前編: 脳出血で寝たきりになった父(障害1級、要介護5)とバーベキューした話(14)

※ この話は、こちらの続きになります。(14)

※ 最初からご覧になる場合はこちらからお願いします。(1)


 家に帰る準備は整った。

 退院日が決まり、退院カンファレンスを行った。

 病院チームは、主治医である院長、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士が出席。

 在宅チームは、ケアマネである夫、家族から母と私。

 また、遠方にもかかわらず、訪問看護師と、福祉用具専門員の方も駆けつけてくれた。


 痰については、十分自分で切る力がある。機械はなくても構わないという判断だった。

 また、私はここでも胃ろうを外したい、と伝え、了承してもらった。


 しかし、その後すぐ、父が少し体調を崩し、やはり胃ろうをつけたまま退院しよう、と覆ってしまった。

 残念だが、仕方なかった。


 母は、退院日までに、スタッフの方について、おむつ交換や、車いすの移乗を行った。

 母はもともと農家の出身。力仕事も泥臭い仕事も厭わない。

 最初在宅で面倒を見るのを嫌がったのも、きついからとか、きたないからではなく、不安からだったので、それがクリアすれば問題なかった。


 そして、ついに迎えた退院の日。

 母は父と一緒にタクシーで帰宅し、私は家で看護師さんと待機した。

 退院の時は、院長を始め、お世話になった皆さんが総出で見送ってくれた。

 母はそれにとても感動したようだった。

 きっと、父も嬉しかっただろう。


 懸念されたのが、家までの距離だ。

 高速を使っても車で1時間以上かかる。

 父が酔って吐いたりは、しないだろうか……。


 そんな周囲の心配をよそに、父は帰り道の間、しっかりと背筋を伸ばし、車いすに座っていた。


 ピンポーンとドアチャイムが鳴った。


 慌てて外に出る。そこには介護タクシーが停まっていた。

 スロープを出し、すっかり軽くなってしまった父を押し、家に迎え入れる。

 そして、久しぶりの長旅で疲れているはずなので、母がすぐにベッドに寝かせた。

 病院に電話して、無事に家についたことを伝えた。


 私は横になった目を閉じた父に、

 「お父さん、お帰り」

 と声をかけた。


 そこは、もうかつて自分たちが暮らしていた家ではない。

みんなの読んで良かった!