聖なる夜に埼玉から新宿まで4時間も自転車をこいだ話

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メソークソスマス!!(やけくそ)


私のクリスマスはいつも仕事でした。

浮かれた雰囲気に負けないようにひたすら仕事をして、

「あえて働いているんだぞおら」的なスタンスを取り続けていました。

なのでわたしにとってクリスマスは大げさに忙しいアピールする日だったりします。


そんなクリスマスの思い出が皆無のわたしが、一度だけ行った大イベントがありました。

その頃の話です。



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クリスマスとは特定の日ではなく、

心のあり方のこと。

                -メアリー エレン チェイスー



時間はあるけどお金は無い。

10代の私にとって唯一の楽しみはラジオと自転車だった。

なけなしのバイト代で購入した2万円のビーチクルーザーがお気に入りだった。


ビーチクルーザー?なにそれ。ビーチク??あらやだ卑猥////。

なんて思っている人に説明するとゴツめの自転車だ。


注文したときそのビーチクルーザーは未完成の状態家に届いた。

といっても前輪のタイヤとハンドル、サドルの部分を組み立てるという簡単なもの。


私は初めて自転車を組んだという達成感と、

あまり見かけない美しいフォルムから自転車にハマってしまった。

移動手段はもちろん、ただうっとり眺めてたりしていた。


そんな12月のクリスマスが近くなった頃、

女友達から25日にみんなでご飯食べない?とお誘いがあった。

その友達はカップルで来る人もいるからと気を使ってくれたが(もちろん一人参加)、

クリスマスパーリーピーポーパーポー体験はしてみたいと参加することにした。


友達
家どこだっけ?埼玉?
場所は新宿なんだけど電車で来るでしょ?
わたし
いつも電車だけど自転車で行ってみようかなッ!


テンションが高くなってしまい思わず自転車!と口走ってしまった。


友達
ウケるんだけどー!
なんでもいいけど新宿ねー。じゃあねー


新宿までなら電車で30分で着くが、これは自転車で長距離移動できるチャンスかも!

何時間かかるかわからないけどなんか楽しそう。だって自転車好きじゃん!!ヒュー!

なんて浮かれたわたしは住んでいた埼玉県から新宿まで自転車で行くことに決めたのだ。



人生初の大イベントがやってきた

来たる12月25日。時刻はお昼を過ぎて2時になったころだった。


目的地に着く不安とヘンな緊張で自転車を磨きながらそわっそわしていた。

言っておくとわたしは地図は読めない。そして今のようにGPSもない。

これから数時間かけて新宿まで自転車で知らない道を通らないといけない。

そんなやつがどうやって自転車で移動するんだよたこすけ。そう思う人もいるかもしれない。

ただ漠然と電車の線路沿いを進んでいけばどうにかなるだろうと思っていた。(雑)


家を出発して線路沿いを進んでいった。


…楽しい!!楽しすぎる!!!風を切りながら自由を全身で感じた。

腹の底から湧きあがるニヤニヤをぐぐぐっと抑えるのに必死だった。

これはもう変態の域を超えるか超えないかの瀬戸際だった。


線路が無くなると大通りに出て青色の道路標識を見ながら進んだ。



いよいよ東京都突入!しかし悲劇が襲う!!

埼玉県と東京都の間には「荒川」という大きな川が流れている。

東京都に入るにはその川を渡らないといけないのだ。

その荒川横断を目の前にひとつ異変に気づいてしまったのである。




あれ、腰が痛いな…




この時点で1時間30分が経過していたが、今までの連続乗車記録を更新していた。

座ると腰が痛くなっていた。立ちこぎで進みつつ、痛みが引いたら座るを繰り返した。

この川を横断するまで時間がかかった。ただの一直線の道がジリジリと腰に負担をかけていった。


オフロードバイクのビーチクルーザーはタイヤが重くて長距離に向いていない。

そのことに気付いたときにはだいぶ進んでいたあとだった。

息も荒くなっていて身をかがめてペダルをこいだ。戻るも地獄、進むもまた地獄状態だった。


ずっとずっと大好きな自転車。こんなエコで健康的で最高なことしかない。

そんなことを思い続けて自分を誤魔化していたが、





今すぐ帰りてぇわ。くそ。




という後悔の気持ちがちょこちょこ顔をだす。

わたしの横を何本電車が通り過ぎだろう。

駅の改札を通る人を恨めしそうな表情で見つめながら通り過ぎた。


赤羽、王子を渡って西巣鴨を通過した。

大通りである明治通りは下り坂になっていて、身を任せておけばスイスイ進んでいった。


街の9割が埼玉県民でおなじみ池袋へ

池袋まで行けばもうすぐ新宿。電車では山手線で10分かからない。

しかしこの自転車だとどのくらいかかるんだよ。気が遠くなるぜ。(帰って寝たい)


池袋駅に着くと人が街にあふれていた。

赤や緑のカラーに包まれてキラキラしていた。さすがクリスマスだった。


無心でひたすら自転車を前に進めるだけの私は、

ここまでの道のりで腰の痛みに耐え続け、

感覚が研ぎ澄まされたのか街の音が聞こえなくなっていた。


そんな池袋は人で溢れていた。黒山の人だかりとはこのことだ。

信号が赤だろうが青だろうがお構いなしにカップルたちが道に広がっていた。

みんなの読んで良かった!

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