日本一厳しい所に四日間行ったら、悩みがなくなって最高に幸せになれた話

2 / 7 ページ


坐蒲を投げないでください。

即座に雲水さんが注意をします。

それを聞いていた他の参加者の何人かが小声で笑いました。


すると、


人間は誰しも失敗するものです。

その他人の失敗をいちいち笑ってはいけません!


雲水さんの厳しい言葉が飛びます。


こんなセリフを本当に言う人がいるのか…!

しかも、二十歳過ぎで同世代に向かって言ってるじゃないか(笑)

僕は違う意味で笑いが込み上げ、吹き出しそうになりました。


食事は布に包まれた応量器(食器)の広げ方からはじまり、

応量器の置く場所、置く順番、指の使い方、

箸の置く角度、肘の張り具合など、

あらゆること全てが決まっていて非常に複雑です。


さらに食事も足は坐禅を組みながらでした。

一時間も坐っていれば足がとても痺れます。

背筋も伸ばさなければいけません。


ずっと同じ姿勢でいる苦痛の上の、あまりの作法の複雑さ。


この作法、明日も覚えている自信ないかも…


一日目が終わると疲れきっていました。



☆人生を変えることになったポイント

・「直感」に素直に従ってみる

・人生は一度きり。思い切って「行動」に移してみる


二日目



午前三時半、

振鈴(しんれい:起床)。

とても大きい、鈴の音が永平寺内に響き渡ります。


頭の芯まで強く響いてくるその音には、

嫌でも目を覚まさざるを得えません。


しかし男性陣皆、疲れきっていて、

すぐには布団から出ませんでした。


朝の三時半なんて、いつもは寝ている時間帯です。


すると、雲水さんが

男性部屋の扉を開けるなり大声で、

いつまで寝ているのですか!
ここは永平寺!
あなたたちは一体ここへ何をしに来たのですか!!
寝に来たようならば、
さっさと下山してください!!!


すごい剣幕で怒られました…。

とてつもない迫力です。

もはや「叱る」というよりも「怒る」です。


皆、慌てて飛び起きました。


そして雲水さんは、音を立てずにそっと扉を閉めました。


雲水さんの怒りは一瞬で、見事なまでに消えていました・・・。

怒りを全く引きずっていません。


あの人は只者ではない…!

扉の閉め方だけで、もはや普通の人ではないのが伝わってきました。



午前三時五十分、

坐禅は基本、一籌(いっちゅう:一回)四十分です。

修行不足の僕は坐り始めると、

やがて足が痺れて、

足に激痛が走り始めました。


・・・・・・・


背中も痛いかも…

背筋を伸ばし続けることにも辛くなってきます。


しかし、少しでも体を動かすと見張っている雲水さんに叱られます。


しかし、また、


なんて汚い坐相(ざそう)なのですか!

もっと背筋を伸ばしてください!


雲水さんの大声が禅堂に響きます。


坐禅は壁の方を見て行うので、

その声が一体誰に向けられたかはわかりませんが、

皆が姿勢を正したのがわかりました。


四十分の坐禅が終わると、

僕はフラフラになり、

部屋に戻るなり床に倒れこみました。


しばらくして

時計を見ると、午前五時。


ええ、まだ朝の五時なのか…!!

まるでお昼の十二時の感覚です。


そして、すぐに朝課(朝のお勤め)に行かなければなりません。

フラフラの中、朝課に行きますが

これまた一時間正座のようです。

足が痛みます…。


さらに、お経をあげる際に

経本を手に持たなければいけないのですが、

腕をまっすぐ前に出して、持たなければいけません。


やがて腕が疲れてきます。


腕が下がってくると、

後ろから「腕をあげてください」の声…

静かですが厳しい声です。

著者の上田祐輝(Yuki Ueda)さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。