日本一厳しい所に四日間行ったら、悩みがなくなって最高に幸せになれた話

4 / 7 ページ

これほどまでに「人の本当の優しさ」を感じたことは、

今までありませんでした。


どんなに辛くても絶対に四日間、

もう休むことなく乗り切ろうと思いました。


さらに、参禅者の一人が、

「あれ?なんだろう?」と

部屋にの片隅にあった「雑記帳」と書かれた

ノートの存在に気付きました。


雑記帳は鉛筆と共に、机の上にあり、

参禅参加者は自由になんでも書いていいようです。


開いてみました。


皆で覗き込みました。


するとそこには、

「後の参禅参加のみなさんへ。

 辛いだろうけど、がんばってください!!」

「私はこれを書いている今、修行がとても辛いです。

 実生活でも辛いことばかりでした。

 人の人生の意味はなんだろうと思いここに来ました。

 これを乗り越えれば、何かがあるはず。

 みんなでがんばりましょう。」

「今日で最終日。

 二日目が辛いけど、三日目からは楽になるぞ!

 だから、二日目を全力でがんばれーーー!!」


過去の参加者達のメッセージで溢れていました。


どれも自分達への励ましでいっぱいでした。


さらに雑記帳のページをめくると、

愛する者を失った人、

難病持ちの人、

親に怒られ来た女子高生、

極普通のサラリーマン、

生きる意味を探しに来た人…


多くの人の想いがたくさん詰まっていました。


自分は一人じゃなかったんだ。

心から応援してくれている人が世の中にこんなにいたんだ!

色んなものからとてつもないエネルギーをもらいました。


二日目は死ぬほど辛かったのですが、

ここで死んでもかまわないという気持ちで乗り切りました。



☆人生を変えるポイント

・自分を本当に大切に想ってくれる人が存在すると知ること

・出会いによって、その優しさに実際に触れること


三日目


午前三時半、振鈴。


起床後すぐに坐禅をしました。

足の痛みはもう然程、心に侵食してこないことに気付きました。


しかし、坐禅を終え部屋に戻ると、

思わぬ事態が待っていました。


部屋では、

参禅者の一人、五十代の男性が

荷物をまとめ正座をしていました。


そして今までとは違う、

とてもかしこまった口調で、


「この度、私は下山させて頂くことに致しました。

想えば三日間、皆様方と共に修行できたことを本当に嬉しく思っております。

しかし、どうしても体調が優れない故、

今日、始発の電車で東京へ帰ることになりました。

修行を最後まで全うすることができなかったという

情けない気持ちでいっぱいです。

残り二日間、皆さんはどうか修行をがんばってください」


そう言い、その方は床に手をついて深く頭を下げました。


そのかしこまった口調と内容に、他の参加者も皆、

最初は驚いていましたが、

やがて頭を深く下げ返しました。


そこに交わされた言葉はありませんでしたが、

確かに通じ合うものがありました。


最後に、最年長で唯一の過去の参禅経験者の方が、


「修行に最後まで残ることが、いい事とは限らん。

人の人生は様々。

今日下山するほうがあんたにとってはよかったのかもわからん。

ここの修行が全てではないし、世の中には良いものが沢山ある。

気を落とさないで、胸を張って東京へ帰ればいい。

良い人生を送ってな!」


そう言い、そして別れました。


最年長者の方が言うには、

彼は初日から常備薬とみられるものを飲み、

とても辛そうだったとのことです。


僕は自分のことだけで精一杯で全く気付きませんでした。

自分の未熟さを感じずにはいられませんでした。


家族の死を経験し、永平寺へ来られた方でした。


あの下山された方の分もがんばろう…!

再び、朝務を済ませ、禅堂で坐りました。


しかし姿勢は正しているつもりでも

修行不足の僕はどうしても姿勢が曲がってきてしまいます。


姿勢を正してください。

あなたたちの来たここで、

一体どれ程の人達が坐れなかったかわりますか?

その人たちの分も坐っているのです。

ストーリーをお読みいただき、ありがとうございます。ご覧いただいているサイト「STORYS.JP」は、誰もが自分らしいストーリーを歩めるきっかけ作りを目指しています。もし今のあなたが人生でうまくいかないことがあれば、STORYS.JP編集部に相談してみませんか? 次のバナーから人生相談を無料でお申し込みいただけます。

著者の上田祐輝(Yuki Ueda)さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。