高木教育センターのありふれた日々(13)

2 / 7 ページ

「まったく普通の子でした」

 という凶悪犯も、たまにはいる。

 どこで間違うのか。遺伝か、教育かという二分法で長く語られてきたが両方の影響であることがハッキリしている。同じ遺伝子をもった一卵性双生児でも環境によって違って育つ。同じ家庭環境から違った子が育つ。

 矯正だ、更正だと言っても再犯率が40%という統計を見せられると

「やはり、遺伝か」

 とか

「成人してからの矯正は、ほとんどムリ」

 と思う人が多いのも当然だ。

 だとすると、学校や塾が中学レベル、高校段階で選抜をしたがるのは当然のことだ。もちろん、排除された子にも愛する保護者がついているのでモンスターに化するのはムリもない。

しかし、周囲の子にとって迷惑であり犠牲者が出る可能性があると排除せざるをえない。

第百二十三章

「安直を求める人たち」

  私は特別な才能がないので、1つのことを達成するのに10年くらいかけている。20の頃にアメリカに行ってから

「英検1級に合格したい」

  と思った。合格したのは30歳だった。

  塾生の子たちから

「5科目の指導をお願いしたい」

  と言われて、スラスラ答えられるようになったのは40歳の頃だった。

  高校生になっても継続して塾に来たいと言われて、高校数学を始めたのはそれからだ。50歳になる頃は高校数学が完成に近づき、京都大学を受けて成績開示を始めた。

「どうやったら、英検1級に合格できますか?」

  と尋ねてくる人は、どんな教材を使い、1日何時間くらい勉強したら合格できるのかといったノウハウを知りたがる。しかし、私は特別なことは何もしていない。詳細は別のところで書いた。

  問題は

「あなたは、10年間諦めずに続けることが出来ますか?」

  ということなのだ。ノウハウなどではなくて、継続する意思なのだ。

  私はアメリカに住んでいたし、英語ができるので外国人の友達が多い。その会話には違和感がない。旧帝を受験するような優秀な理系女子と話す時も違和感がない。

 ところが、その他の大多数の日本人を相手に話すと私の言葉に不愉快になる人がいる。時々、その理由を考えるが

「論理的に考えることに反発をされるようだ」

 というのが、私の結論。「ガリレオ」の湯川先生も、「相棒」の杉下右京も論理的に語るが、変人とか嫌われ者扱いの設定になっている。日本では、論理的に語る人を嫌う人が多い。

  私は外国人と言っても、韓国人と中国人は友達になれた人が少ない。すぐに感情的になって喚くからだ。私は冷静沈着で論理的な人としか、友達になれない。

  昔から

「学問に王道なし」と言うではないか。時代も、国も、才能も、置かれた状況も違うのに、英語や数学を身につける一般的な方法などあるはずがない。それが論理的に考えるということだ。

  ところが、私に筆を使って

「支払った分の成績を上げるのがプロというものだろう」

  と長文の手紙を送ってきた保護者がいた。

「そんなヒマがあったら、自分の息子の尻を叩け!」

  と言いたかった(言わなかったけど、トラブルになるから)

  この保護者の方は、勉強には「取扱説明書」のようなものが存在しているはずだ。どうして、それを息子に教えないのだ。そう考えてみえるようだった。

  そのような、取扱説明書などこの世には存在しない。

  でも、日本では苦い現実より、甘いウソを好む人が多い。そこを、受験産業の食い物にされている。ハイジが踊っても、野村萬斎がジャンプしても、あなたの成績は上がらない。そんなことも分からずに、申し込みが殺到する。

  聞き流して英語が身につくなんて、100%ありえないのに大金を支払う人が多い。大規模予備校や塾の授業料は、大半がビルの維持費と広告代。成績アップには関係ない。家にタブレットを置いても、学校の授業を再度聞くだけ。何も変わらない。

  こういう現実を描くと、

「苦い現実など見たくない!」

  と怒るわけだ。

「ウソでもいいから、大丈夫と言って!」

  と期待するわけだ。

第百二十四章

「困った子ちゃん」 troublemaker

  教師も塾講師も、勉強ができない子の指導を好む人は少ない。なぜかというと、

  In general public school teachers and privateschool teachers don’t like students who are not good at solving problems.

疲れるから。普通の子の5倍、賢い子の10倍は疲れる。その理由は、たとえばプリン

Because it’s atiresome work.  Smart students can solveproblems easily and average students can do it after a few try.

トをやってもらう時に賢い子は1回ですむ。普通の子は2回ですむ。しかし、できない子は、選択肢が5個あると何も考えずにア、イ、ウ、エ、オと順番に答えてくる。

But bad studentschoose right answers at random.  Theydon’t like thinking itself.  This meansteachers have to check the answer sheet several times and it doesn’t work tomake them smart.

 つまり、何も考えないわけだ。だから、最悪5回採点しないと終わらない。時間のムダだから解説しようとすると

  This is ridiculous and and a waste of timeand energy.

「オレだけ馬鹿扱いした!」

  However they get mad at what we say if we arehonest enough to say this is ridiculous.

 と抗議がくる。

  また、採点するのも賢い子なら間違いの数が少ないので採点が楽。しかし、できない子は間違いだらけだから採点ミスの確率が増える。すると、

  They make a lot of mistakes and thepossibility for us teachers to make mistakes when we check their answer sheets.

著者のキョウダイ セブンさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。