高木教育センターのありふれた日々(14)

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 というので、5科目を指導し始めたら10年ほど経過した。

 

「なるほど、10年でモノになる」

 そこで、

「じゃ、あと10年で「数Ⅲ」をやろうか」

 と思った。これは文系だった自分には無謀だと思われた。だから、黙ってコッソリ始めた。誰かに言うと

「無理に決まっているだろう」

 とネガティブ発言を聞かされるハメになる。

 

 まず、「オリジナル」を使って数ⅠA、数ⅡBまでやることにした。2周やってセンター試験を受け始めた。10年続ける予定だった。最初は25%しか正解できなかった。その後、「1対1」「チェック&リピート」を2周やって、Z会の「京大即応」を始め、河合と駿台の「京大模試」を受け始めた。センターの数学は8割、京大二次は7割くらいになった頃に10年近く経った。

 

「なるほど。私程度の才能でも10年もやると無謀なことも可能になるわけだ」

 

 と、納得した。

 

 私のは、信念ではなくて信仰です。今、目の前に「成功哲学」という本がある。

 ナポレオン・ヒルの書いた超ロングセラーなのでご存知の方も多いと思う。アメリカにいる時に紹介されて読んだ。ウェイン・ダイアーの「自分のための人生」は30年間私の座右の書となっている。

  なぜ、こういう書物が日本で書かれないでキリスト教圏で生まれるのか。それは、

 

求めよ、さらば与えられん。尋ねよ、さらば見出さん。

門を叩け、さらば開かれん   新訳聖書「マタイによる福音書」より

 

 全ては「聖書」の思想を人生や経営に当てはめて書いてあるわけで、信仰がないと実践に移すパワーが漲らない。

 

  私はクリスチャンだが、塾では信仰の話はしない。日本には信仰の自由があるし、宗教というと変な人だと思われがち。

「私の息子(娘)を洗脳する気か!」

  と、抗議されかねない。

 

 私の経験によると、99%の生徒は

「高木先生は生まれつき賢いから」

 と言って、私の言うことに耳を傾けてくれない。でも、ごく一部の耳を傾けてくれる生徒には「10年の法則」を教える。それが、どれほど彼らの背中を押すかお分かりだろうか。

  私の塾生は、京大医学部、阪大医学部、名大医学部などの旧帝に次々と合格していった。こんな三重県の片田舎の小さな個人塾なのに。

 

 こういう世界に「ビリギャル」の入り込む隙間はない。

「中学生、高校生に本物の生き方を見せてもヒットしない」

 というのは間違った思い込みで、生徒をなめているとしか思えない。

 

 しかし、私は声高には言わない。イエス様の言われたことは全て正しいのだけれど、結果は十字架上の磔だった。

  私は塾講師だから、塾生を「合格」に導くのが仕事だ。自分で英語検定1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級に合格してみせた。ノウハウを知っている。

  文系でも、数学Ⅲを指導できるまで数学を身につけた。センター試験を10回、京大二次を7回受けて合格するためのノウハウを知っている。

 

 そして、それを教えた生徒は難関旧帝に合格していった。

  ところが、その肝心要のノウハウを口にすると

 

「何を威張っとんのんや!」

「そんなのは生まれつき」

「あんたの方法が誰にも当てはまるわけないやん」

「ただ恵まれていただけ」

 

  と罵詈雑言が飛んできた。イエス様だけではない。正しいことを言った坂本竜馬は暗殺された。上記の記事の教師も、正しい行為をしようとしたら暴行を受けた。私は殺されたくないし、暴行を受けたくもない。

 

「人は、自分がなりたい者になる」

 

 と話したら、念仏のように

「ボクは四日市高校生になりたい」

 と念仏のように唱えていた子もいる。“求めよ、さらば与えられん”なのに、全然求めていない。念仏を唱えるのではなくて、問題をやりまくることを求めると言う。この程度の理解では救われない。

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