おとうさんからの宝物

1 / 2 ページ

おとうさん。

あなたがあの世に逝って11年経ちました。

時がたてば経つほど、あなたを近くに感じています。

時がたてば経つほど、あなたからもらった宝物をありがたく感じています。

おとうさん。

あなたは僕に生きる力を与えてくれました。

どんな困難にも立ち向かい、自分の足で大地に立つ力を。

自分の可能性を信じ、最後まであきらめない力を。

おとうさん。

あなたは僕にやさしさを教えてくれました。

損得は関係なく、ただ困っている人に手を差し伸べることを。

ささやかでも、できることからすぐにして差し上げることを。

おとうさん。

11年前の秋、あなたの余命3か月を突然お医者様に告げられました。

72歳にして腹筋100回くらいは平気なあなたでしたので意味がわかりませんでした。

あなたが病気になった姿も記憶にありません。

その宣告は僕にはあまりにも突然で残酷でした。

おとうさん。

あなたは余命3か月の宣告通り逝ってしまいました。

しかし、その3か月の間のあなたの生き様が僕の宝物です。

おとうさん。

あなたは病室に2歳の娘を連れて行ったら、いつもベッドから飛び起きて、

娘に腹筋を何度もして見せてくれましたね。

おとうさん。

あなたは病室でいつも笑顔でした。そして2歳の娘に歌ってくれました。

その唇は見たこともないどす黒い紫色で少し出血してましたね。

おとうさん。

あなたは最後まで痛いとか苦しいとか僕の前では、

いっさい言わなかったですね。

おふくろだけの時は弱音をもらしていたようですね。

おとうさん。

とうとう、あなたは力つきました。

僕は出張でその時に立ち会えませんでした。

おとうさん。

出張から帰った時、あなたは死装束に包まれていました。

見たこともない、おだやかな顔をしていました。

おとうさん。

はずかしい話しですが、僕はあなたの死を1年位は

受け入れませんでした。あなたが生き返ると確信していました。

それくらい、あなたとの別れがつらすぎたのです。

おとうさん。

今でも鮮明に覚えています。

それは、あなたを火葬した日のことです。

おとうさん。

あなたの骨はスカスカでボロボロでした。

おとうさん。

その時、あなたのすごさに心が震えました。

著者の野田 幸夫さんに人生相談を申込む

著者の野田 幸夫さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。