日本で初めてダイナミックパッケージを立上げた話し

はじめに

ダイナミックパッケージとは、航空の交通手段とホテルの宿泊施設を、自由に選択できる旅行商品のことです。
欧米のオンライン旅行会社が2002年頃からサービスを開始していますが、日本に入ってきたのは2005年以降です。
ダイナミックパッケージはJTBや楽天トラベルで有名ですが、初参入したのは某大手商社の鉄鋼部門でした。この出来事をきっかけに大手が参入して市場を拡げた、といって過言ではありません。
実に未踏の地を踏んだのは、旅行サービス業界ではなく、鉄を売るために世界を股にかけたサムライたちだったのです。
そして奇しくもソフトウェア開発とサイト立上げの専門チームとして指名されたのは私たちのチームでした。
その舞台裏の一部始終をお話しします。

前人未踏のサービス開発の背景

依頼主は某商社の100%子会社として「航空券とホテルを臨機応変に組み合わせて予約できるパッケージ旅行」をインターネットで提供するために、ベンチャー企業として設立されました。
これは日本の旅行業界では初の試みとなります。
市場に最初に名乗りを上げるため、企画構想力と開発スピードの両立が必然でした。クライアントチームにはITに目利きが利くメンバーがいないため、ビジネスとITの橋渡しを埋めるチーム体制が必要だったということでした。

前人未踏であるがゆえに

国内初の「航空券とホテルを組み合わせて予約できるパッケージ旅行」をインターネット上で組み立てて予約する仕組みを構築したいという依頼が、私たちのもとに入りました。
依頼主は鉄鋼を世界に売り歩く商社マン。
言いかえると屈強の営業の面々でした。こう言うとITと距離が遠いようですが、鉄鋼市場ではEマーケットプレスの成功でインターネット取引では先行してました。そのノウハウを海外出張慣れした自分たちの知見と融合させたいということだったのです。
航空券やホテルの料金は刻々と変化する(※)ことに着目し、世の中にない新しいサービスを創り出したい。 これが私たちのミッションでした。
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(※)供給側はなるべく利益を確保しようとするため、閑散期には安くしてでも席や部屋を埋めようとし、需要と供給のバランスを見ながら料金を変動させているため。
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開発期間はわずか5ヶ月。間もなく前人未踏であるゆえの苦しみを味わうことになりました。特に航空機(エア)の引当ての仕組みを自分たちが作るシステムに取り入れるにあたっては、数多くのパターンのトライ・アンド・エラーを重ねざるを得ませんでした。
事例やノウハウを尋ねる先が無いため、自分たちで試してみるしかなかったのです。

予想以上に険しい坂道

開発の足回りを良くするために技術要素をPHPとし、この技術でとことん突き詰めてできるメンバーで陣営を固めましたた。
それでも足りないところは休日返上で開発リーダーとともに技術者面接を行い、1名を新たに確保しました。思考錯誤に費やす時間は、品質と生産性を見積って埋め合わせを行う作戦でした。しかし当初の予想を上回る険しい坂は続きます。「タイムテーブル」と呼ばれる予約や決済締めの関係の仕様が二転三転するのです。ここはビジネスの要でもありました。
そこで次の視点を軸に検討を繰り重たのです。
(1)交通手段やホテルに複数の選択肢があって自由な旅程でホテルが選べる。
(2)即時に料金を把握できる。
(3)システムで自動的に予約できる。
これらを満たすには、インターネットでの取引が大前提です。さらに、パックツアーなら出発直前の申し込みはできないが、ギリギリまで申し込める仕様に落とし込む仕様を考えました。
ちなみにネットの場合、1日24時間申込みが可能なので、窓口が閉まっている時間帯でも、インターネットで申込みができるという利点があります。また店舗も持たないしパンフレットも用意しなくても、販促が可能です。インターネットから完全に自動で予約してもらうという方針を固めました。
さらに、従来であれば手配が別々ですので、面倒で料金が高くなるところを、これによって、他社よりもはるかに低コストで旅行を提供できます。
縺れた紐が解けるように最終的にはこれでやってみようということになりました。
また、こちらから依頼主側の運営体制について提言しましたが、人の採用が絡むために、こちらも遅れをなしていましたが、これらを取り返すべく全員が夏休み返上でした。
4ヶ月目に状況が良くなりました。
縺れた紐が解けるようにあらゆる問題が解決し始めました。一緒に難局を超えたのです。

システムリリースその後

名実ともに日本初のダイナミックパッケージとして国内でローンチしました。利用者の支持を集め、ビジネスとしても成功。その結果、楽天など大手の参入を促すことになりましたが、マーケットの裾野が広がることによって、追い風に変えて益々成長を遂げています。
実はこの話し大きな「オチ」というか出口があります。
公には書けませんので、個別に聞いてくださいね。
谷尾 薫

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