父親は現実主義なピーターパン。小学生の頃の弾丸スパリゾートハワイアンセンターの記憶が強烈で消えない。

朝起きたら、エンジンをふかしたパジェロが縁側に見えた、寝ぼけ眼の小学校五年生。





 低学年で年子の妹と、弟と、日曜日の朝からたたき起こされて。


そもそも、昨日の段階で何か聞かされたかっていわれたら、何も言われていない。

だけど、明らかに朝から様子がおかしくて、父親はどこかに行こうとしている。


 23歳で私を産んで、若いパパとママね、なんて幼稚園時代の頃は言われた。

 その幼稚園の先生は、うちのおばあちゃんの血縁者だし、親族や顔見知りで形成されている村で

歩いて五分の場所に父の姉の叔母が住んでいるし、いとこは小学校も同じ。


 父の姉が実家から近いところに住むのは祖父が娘や息子を手元においておきたいってことと、うちの父親は子どもの私からみると大人の形をしたリアルピーターパンだった。


 なぜ、ピーターパンか、というと

子どもと同じ目線で遊ぶというと聞こえはいいけど、要するに親としての責任は祖父母に押し付けて

初孫だからって祖父母がおまえたちが育てるのは無理があるっていわれたらしくたって、私を祖父母に差し出してしまう。


 祖父母が喧嘩して、祖母が温泉街に閉じこもってかえって来ないときは、幼稚園児の私を

旅館の入り口において、「おばあちゃんをつれて帰ってくるまで、帰ってくるな」といわれておいていかれたのは、衝撃だった。

 命がけで「おばあちゃん、私とかえろう(じゃないと私も帰れない)」

と言って「いちかは、そんなにおばあちゃんのことを・・・」

 といって泣かれたけど、真実は違う。本気でごめん。いまだからネタバレ。


 そんな父親だ。

「ごはん食べたか?はやく車に乗れ」

と目的地もわからず、私と妹と弟は車に乗って、出発したのが朝の9時だった。


「どこに行くの?」

おそるおそる聞いた私に

「ハワイアンセンターへ行きたい(父が)」

「はあ?!」


 といったのは私だけで、妹と弟は喜んでいたみたいなのですが、連休でもないし、明日は学校があるのに、そして行くなら行くで前もって教えてもらいたい。


同じ福島県に住んでいるといっても、私の住んでいる村からいわきは、車で三時間くらいかかりました。今は、もう少し短縮していけると思いますが、当時は時間がかかりました。


「水着は」

といいかけて、母が「持ってきたよ」と涼しい顔で言いました。


「お父さん、泳ぎたくなったから、いってみっぺ。」

と、お父さんは嬉しそうに言うので、10歳の私はこーゆーときってよその家族なら子どもが行きたいから連れて行こうってなるもんじゃないのかなとか、子どもの気持ちはきかないのかなとか、悶々として、自分が親になるときはやらないって決意して。


計画をたててやることが好きなO型の私。自分のやりたいこと優先なB型の両親二人。

 それでも、到着して、お昼を食べて、着替えてプールに入って、状況に慣れてきました。


お父さんは、長い滑り台や波のでるプールに一人でいってしまい、私は妹と弟をみながら、お母さんと一緒にプールにいるとあっという間に二時間くらいが過ぎました。


もう少し遊びたいな、という気持ちに切り替わってきたときに






「帰るぞ!」



というお父さん。

ええええええええええええええ?!

自分が満足したら、帰るわけ?嘘でしょ、冗談でしょ。

私が呆然としていると

「着替えろ!」

と言われる。


あの時はわからなかったけど、それでも不器用な父親はこれで子どもの育児をしているとおもっていたようだと、大人になってからわかる。

 私を祖父母にとられて、取り返したくても私が祖父母になついていて、自分に自信のなかった父親の精いっぱいの愛情表現だったんだけど、このときはそんなことわからないから、子どもを振り回す、自分のことしか考えてないようにしか見えなかった。


 帰りに、幸楽苑の300円くらいのラーメンが夕食。

ラーメンを食べる私たちをみて、とても満足そうな父。


 家路につくともう夜の9時近くだった。

「寝ろ!明日は学校だからな。」


私が嫁に行くときも泣かないし、主人に「のしつけてくれてやる」なんてしか言えない。


「うちには煙突がないから、サンタクロースは来れないんだよ。だからお父さんがプレゼントを買ってやるから、お父さんに感謝しなさい」とも言われたことがある。


母親になって、自分の子供時代を振り返ると、父親のやりたいことにつき合わされてふりまわされている。遊園地もお父さんが行きたいから行っていたなと思うとおかしくて笑ってしまう。



 そんな父だけど、私の息子にはちゃんとまともなおじいちゃんをしていると、変わったなあって

笑ってしまう。


  強烈なピーターパン。

だけど、結構、楽しかったんだな。私もやってみようかな、大人のピーターパン。









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