転校したら、ホリエモンと同じクラスになったw私の中だけにある彼との小さな想い出。

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小学四年生の三学期から、新しい学校に通うことになった。

前に住んでいた家から車で10分ほどの距離に引っ越したんだけど、同じ市内でも学区が変わってしまって、転校しなきゃいけなくなった。

それまでは、玄関を出ると斜め前に小学校が見えていて、通学時間は徒歩1分。

ランドセルを忘れて登校しても、スキップで取りに帰れてた。

ところが転校した途端、その通学路の距離は一気に2kmと長距離になった。

そこで問題になったのが、長距離すぎて学校から家までの道を覚えられないことだった。


引っ越したばかりで、見たこともない通学路。登校時には道なりに進めばよくても、帰りには二股に別れていて、どっちに行けばいいのか分からない。そういう難所が数ヶ所あって、なかなか道を覚えられなかった。

母は、厳格で聞く耳持たぬ人だったので、不安なことがあっても、何も相談できない人だった。

通学路をなかなか覚えられなくて、助けて欲しいと言えなかった。

だから帰りの会の時間は毎日、一人で不安を抱えて、胸が張り裂けそうだった。


登校時はいい。登校班というものがあって、近所の子供達が集合して、皆で登校できた。

問題は下校時。2kmの長距離になると、通学している人が限られてくる。

同じ登校班の女の子は別のクラスで、下校時は時間がバラバラで一緒には帰れなかった。

引っ越したばかりで、クラスメイトの名前も顔もあまり覚えていない中、一人だけ、家が近い男の子がいるのを知っていた。


皆が冬の制服を着ている中、寒いのになぜか、半袖半ズボンに裸足という夏の制服姿の彼は印象的で、登校時に毎日見かけていたので覚えていた。

それが堀江君だった。


細かくは覚えていないけど、毎日不安ながらも、なんとか誰かと家の近くまで帰れていた。

だけどある日、どうしても一緒に帰れる人を見つけられなかった。

私は、友達でもない、話したこともない堀江君に、思い切って話しかけた。

そうするしかなかったから。

一緒に帰ってもいい?
帰り道が分からないから
堀江君
いいけど走るよ
え?あ、うん。
分かった

教室でたったこれだけの会話をしたきり、下駄箱で靴を履くと、堀江君は本当に走り出した。

え⁉︎速い!このペースで帰るの⁉︎何故⁉︎

そう思っている間にも、どんどん走る堀江君。

私は置いていかれないように、必死になって彼の背中を追いかけた。


中学一年の入学時の身長が139cmだった私は、四年生の頃にはきっともっと小さくて、走るのも苦手で、だけど置いて行かれたら帰れないからと、全速力で走り続けた。

長い登り坂を越えて、下りたらまた登り坂。息が上がって苦しい。

待って、という訳にもいかず、2km近く走り続けた。


やっと家まで200mという交差点に着いた時には、フラフラと倒れそうになっていた。

私の家はこのまま真っ直ぐ、彼の家は右。

だけど、ここからなら一人で帰れる。

息を整えてお礼を言おうとしたけれど、彼はもう交差点を曲がって走り続けていたから、後ろ姿に向かって小さく呟いたありがとうは、結局彼の耳には届かなかった。


堀江君は一度も後ろを振り返ることなく、もちろん一言の会話もなく、ただ二人のマラソンでしかなかった帰り道。

ただ一度だけ、直角に曲がる道で、先を走っている彼と目が合ったのを覚えてる。

ちゃんと着いてきてるか、気にして見てくれたんだって直感的に分かって、ぶっきらぼうだけど、優しい人なんだなって思った。ちょっとは歩いてくれてもいいじゃん!鬼!とも思ったけれどw


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