失聴経験 1診断結果

1 / 3 ページ

後編: 失聴経験 2私は母親と同じじゃない

※ これは両親から虐待を受けた記憶をはっきりと取り戻す(PTSDになる)以前に書いた文章です。



「えっ?今、何て言ったの?」

私の思考回路はショートした。


「劣性遺伝による中度の感音性難聴です。」

約1か月かかった検査の結果が、私の内側でリフレインした。


「ちょっと、こっちにおいで。」

医者はそう言って椅子から立ち上がり、私の頭部の断面図を貼った壁のスイッチをONにする。

立ち上がり見た画像は、私の頭部を様々な角度から写していた。


「レントゲンもMRIもどこも異常がないんだよね。

例えば聴覚神経に異常がある場合、こことかこことかにそれが映るはずなんだけどキレイでしょ、ほら。」

それから医者は私に座るように促し、自分も椅子に腰かけた。




私の約1カ月間の不安は見事に悪い結果を導いた。

この間に数回繰り返した聴力検査の結果によって既に※「中度の感音性難聴」と知識として知っていた。

図書館や本屋で立ち読みしたどの本にもそう書いてあったし、検査期間中、私を担当していた医者もそう言っていた。

けれども私はどこかで、それを否定したがっていた。



※「中度の感音性難聴」とは?

健聴(正常に聞こえる人)より遥かに障害に近い聴力で、鼓膜から内側の内耳・聴神経のいずれかに異常があり現代の医学では治らないとされる難聴のこと。





「遺伝なんですか?」

私は力なく身を乗り出して、そう聞き返した。

(普通の人の会話レベルの声の大きさでは聞こえない為)


「他に考えられる原因がないんだよ。鼓膜から外側には全く異常がないし。」

と言いながら医者は業務用のメモ帳に「劣性遺伝」と書いて私に手渡した。


「どの位の確率で遺伝したのですか?私が将来結婚して子供を産むとしたら、

その子にも影響があるのですか?私には妹がいますが、妹の場合は?」


「あなたの子供に?大丈夫、遺伝しないと思うよ。そんなに深刻に考える必要はないよ。

あなたに対する遺伝の確率だって…本来は遺伝しないはずだよ。簡単に言うと子供を3人産んで一人に遺伝するかしないかの確率だから。あなたは二人姉妹だしね。それより…。」

みんなの読んで良かった!