学校設立を目指した学生が、DJになって野外フェスをつくるに至った話

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自らに基づいて行動すること。

それは実際言葉にするより難しいことは知っていた。


仕事に追い詰められた時はとてもそんな思考まで及ばないことも
自分の考えより、場の空気に合わせて行動したほうが都合がいいことも
人間関係はむしろ空気に基づき形成されることも


だから、自由っていうのは、その言葉通りの状態に成ろうとして成るものではなく
余裕を生んだ先に形成されるものなんだと思った。


そのためには、1つ1つの当たり前を深く感じ取ることが必要で
歩くだとか、話すだとか、食べるだとか
今あるものの価値を、味わい深く感じていくことで、そこに余裕が生まれる。


そしてその余裕が生まれた時に初めて、自由が呼吸する。

多くの問題は、足元に落ちている石の美しさに気づくことで解決されるんじゃないかと思った。

そんな仮説を検証するために
キャンプファイヤーを切り口に当たり前の価値に気づき
その所在を自ら確認していくような企画をネットにアップした。

すると、そのコンセプトに共感してくれる方々からお声がけいただき
プロジェクトが始まっていった。


楽しさに意味なんてないんじゃないかと思ってた。


そこで関わった方から教わったのは、地球という視点だった。

人類が地球に生き残るためのプロジェクトをされている方で
いま人類はどういう時代にいて、このままだと今後どうなっていくのか


そして人類としての個人はなにをしていくべきなのか。

とても腑に落ちた。と同時にこれまでひっかかっていた何かの正体が分かった気がした。


これまで、ただ楽しく生きるとか、お金持ちになって幸せになれればそれでいいとか
そういうことに違和感があったのは、どうせそれは刹那的なことだって
小学生の時からずっと思ってたからだ。


未来にとって本質的に価値となるものを遺すことがしたかった。

そこに、地球や人類が生き残るという目的は、とても確実なものな気がした。


とはいえ刹那的な感情の連続で歴史はつくられていくし、むしろそんな静止画の連続を
無理やり物語として編集しているのが人間だから、刹那的なものに価値がないなんてとても言えない。

その塩梅が重要だと思った。

今すぐは求められていないかもしれないけど、10年、20年後重要になってくる価値と
今すぐ求められいる分かりやすい形、エンターテイメントを組み合わせ企画をつくっていった。


キャンプファイヤーは「火と対話する夜」とサブタイトルをつけて
火が齎す様々なレイヤーの中から、自己選択した価値をそのままアウトプットしていき
参加者同士でミーティングをすることで
それをキャンプ場を抜けた社会にどう反映させていくかを考えた。



そして

入社、8ヶ月後に退職。
(その4ヶ月まえにも実は申し出ていたのだが、高い寿司屋に連れて行ってもらい、なんかなかったことになった)


退職1ヶ月前には次にやることが決まっていた。


それが、音楽。


あるだけの貯金を使って
大量のヘッドホンを買ったクリスマス



退職1ヶ月前


退職を決めたはいいが、まだミーティングスペースをつくる資金も計画も人材も知識もない。
そもそも経営すらしたことない、というか学んだことすらない。。


これは更にワンステップ必要だと考え


テニスコーチをしていた時に感じた、あの納得感を思い出す。
そもそも自分自身が、自由で解放的でいられる時はいつなんだろうと考えた。


答えは、ライブ会場だった。


音楽を心から楽しんでいる時のあの高揚感


許容しあってる雰囲気、音楽で繋がっている感覚


そこに自由はあった。

教育という切り口で伝えたかったものが


音楽という切り口で同じことが、もしくはそれ以上のことができると

いうことは、キャンプファイヤーの企画をはじめ、多くの場所で確認できていたことだった。


どれだけ高尚な宗教家や、博学な学者や、著名な起業家のスピーチでも届かない領域に
音楽は時にたった1音で踏み込んでいける。


そんなことが経験でわかっていた。
その一音の可能性を信じていた。







ただ、これまで音楽は沢山聴いてはいたけど楽器はなにもできないし、、と思って

始めたのがDJ。


すぐにフリーのソフトをダウンロードして試してみたが、めちゃくちゃ楽しい。


そしてそこそこできるようになると、パフォーマンスがしたくなる。


そもそも主催でイベントをすることしか考えがなかったので、安く借りられる箱を探す。


どこも借りられない。。高すぎる。。


集客力もない素人が気軽につくれる音楽空間はなかった。


そこからすぐだったと思う。
ヨーロッパでサイレントディスコというものが流行っているというニュースを見たのは。




「これなら誰でもどこでも手軽に音楽イベントをひらくことができる・・」


ググったところ、専門業者はヒットせず。
これはもういくしかないと、ちょうどクリスマス前後の夜だったと思う


口座残高がほぼ空になった・・。思えばダブルミーイングでサイレントクリスマスだった。。



そして放浪の旅へ・・


カッコつけて言えばリーンスタートアップ、そうでなければ見切り発車。
そんな幕開けは「そうだ、とりあえず時間できたし旅いこ」というJR東海のお株を買うような
スピード感で、旅に出た。

目的地は2つ決まっていた。
1つは熊本のサイハテ村、もう1つは大阪のあいりん地区



サイハテは自分の目指したいと思える場所作りのロールモデルともいえる場所で
ここは必ず体験しないといけないと思っていた。



あいりん地区は、日本で唯一暴動が起きる街とも言われ、路上生活者たちが最後に行き着く
言わば資本主義のサイハテのような場所、体験せずには居られない。


福岡にまず着陸し、そこから北上するように進んでいく旅だった。


表題とはズレるので、詳しくは書かないが総じて「生活」「優しさ」という大切なキーワードを2つ体感して、受け取った大切な時間だった。このへんにまとめてあるかもです


戻ってからは、HPやロゴ、名刺製作に法的な手続きを諸々済ませ
すぐにクラウドファンディングをスタートさせる。


目標金額30万、代々木公園で野外サイレントディスコをするという目的。
クラウドファンディング的に言うと決して高い設定金額ではないのだが
まだ日本で殆ど広まっていないこのコンテンツ、そしてあまりにも浅いビジネス経験
その壁は高かった。


とにかく泥臭く、這って進むように、進めていき、ぎりぎりでなんとか達成。


多くの人に協力をしてもらって、やっとのことだった。
それでも利益としてはほぼ0、会社から抜けてやっと、社会で生きることの
厳しさを知ることができた。


野外フェス開催、そして


見たかった光景が見れたフェスだった。


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