IRON MAN

「IRON MAN」と言えば誰か?


ハリウッドの空飛ぶヒーロー?


泳いで、漕いで、走るアスリート?


否。


俺は「松澤 等」氏その人だと思うのである。


彼を語るには、あるスポーツに触れておく必要がある。


スーツ

シャツ

ブラウス

コート


我々が、日常的に身に付ける衣服。


シワが寄れば、アイロンを掛ける。

面倒なら、クリーニング店に出す。


実は、この「アイロン掛け」を、極限環境の中で行うという、色んな意味で危険極まりないスポーツが存在するのだっ!


その名も「エクストリーム・アイロニング」!!


ではどのくらい「極限」なのか。

以下に示そう。

ちなみにどちらも世界記録である。


・アルゼンチンはアコンカグア頂上。標高にして6959m

・エジプト冲の海底。水深にして100m


むう。まさに極限環境。


その他にも、世界記録ではないものの、


スカイダイビングしながらの空の上

灼熱の太陽に炙られる砂漠の真ん中


なんてのもこのスポーツの舞台となり得るのである。


常人では、例えアイロン無しでも到達困難な、非現実的な極限の世界。


ここに、懐かしい「お母さんの匂い」がする日常を持ち込み、その絶望的なまでの違和感を楽しむ。


これが、「エクストリーム・アイロニング」なのだっ!


曰く、「エクストリームスポーツの刺激」と、「アイロンを掛けた時の満足感」を掛け合わせた魅力がたまらないのだとか。


まさに、交感神経と副交感神経のハイブリッド。アドレナリンとエンドルフィンの脳内麻薬カクテルなのである。


成る程、そんなスポーツが存在するのは分かった。しかし、色々と気になる点がある。


Q. 電源はどうするのですか?

A. 充電式や昔ながらの火延し鏝を使えばよい。簡単だ。


Q. 水中でシワを延ばしても、また乾くとシワになるのでは?

A. またアイロンをかければよい。何度でも。愚問だ。


Q. なぜ山でアイロンをかけるのですか?

A. そこに山とシワがあるからだ。明白だ。


何事にも課題や問題はつきもの。大事なのはいかにアイロン掛けを楽しむか、であり、小事につまづいていてはいけないのである。


この「楽しむ」過程で、様々な技が生まれた。


・「アイロン台は固定し、アイロン自体は動かすもの」という常識を覆し、逆にアイロンを固定し、アイロン台を動かす「テキサス・チェーンソー」


・公園の回る球状のジャングルジムに乗りながら、人工衛星よろしくアイロン掛けする「NASA」


・両手にアイロンを持ち、アイロン台に飛び込みながら空中でアイロンを掛ける、華麗な「二刀流エアリアル」


エクストリームアイロニングに必要なのは、


「極限環境に挑む勇気」

「死地を生き延びる強靭な体力」
そして、「地獄まで楽しむユーモアと想像力」なのだっ!


全世界での競技人口、約700人。ドイツで世界大会も行われ、オリンピックの正式競技に推す声もあるというこのスポーツ。


実は、我らが日本には、世界で最も勢力的に活動する団体が存在する。


その団体がエクストリーム・アイロニング・ジャパンであり、その創設者であり現代表こそが、冒頭の「松澤 等」氏なのだっ!


彼の伝説は、枚挙にいとまがない。


世界遺産にめでたく指定された、富士山。


日本最高峰のこの頂きを、25キロの発電機と「Myアイロン」を背負って登頂し、


「熱源を確保した上での、世界初の富士山アイロニング」を彼は成功させた。


さらに驚くべきことに、彼はその足で神奈川県相模原湾に向かい、


サーフィンをしながらアイロン掛けを行う「サーフクルージングアイロニング」


更には、相模原湾海中でのアイロニングにも成功する、という偉業を成し遂げた。


この時彼が使用したアイロンは、「山頂、海上、海底、そして居間で使用された地球体感的アイロン」として認定されている。


まさに生きるレジェンド。

スキージャンプの葛西氏も真っ青だ。


そんな彼も、やはり世間の冷たい風に吹かれ、心が折れかけたことがあると、その苦しかった胸の内をブログで吐露している。


一時は活動を休止したこともあるとか。


だが彼は不屈の闘志で立ち上がり、再びアイロンを手にとった。


そして、以前にも増してアイロンの素晴らしさを日本中に広げようと、日々邁進しているのである。


どんな負荷にも耐える鋼鉄の様な肉体と、軽蔑、嘲笑を跳ね返す鉄の心。


溶けた鉄のように、赤く煮えたぎる情熱。


そして、手にした伝説のアイロン。


鉄の「IRON」
アイロンの「IRON」


尊敬と、畏敬の念を持って、改めて彼をこう呼びたい。「IRON MAN」と。

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