失聴経験 9分からない真実 ①再検査と医者の見解

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手話を勉強して出会った方に「語音明瞭度検査」(※後述)も受けた方が良いと言われ、9月下旬に「東京都心身障害者福祉センター」へ検査に行った。

難聴になってから気がついたことは沢山あるが、その中で切実に感じるのは普通の人と同等に物事ができないのに、法的な障害者ではないゆえに社会的なサポートが何一つ受けられないことだ。

何しろ手話を断られたことが衝撃的で、私はその日複雑な心境でセンターを訪れた。聴覚障害者の検査をする待合室で、聞こえない人が心境を語っているビデオが映っていた。色々な方が聞こえないことの不便さや辛い体験を語っていて、私はそれを見ているだけで涙が出そうになった。


検査室に呼ばれて聞こえなくなった経緯を聞かれている内に泣いていて、その後はずっと涙が止まらなかった。

一通り聞かれると先に聴力検査をし、次に「語音明瞭度検査」をした。この検査は検査機械が50音を1文字ずつ発音し、それを書き取って正しく聞き取れるのかを判断する。正解率が50%以下の場合、障害となる。

初めての私には何だか屈辱的な検査だった。「あ」なのか「か」なのか分からなかったり、「き」なのか「ひ」なのか分からなかったりする。悩んでいると次の言葉が発音され、空欄の場所が酷くみじめに感じた。

この2つの検査結果から、現在の日本の障害者基準では聴覚障害者には該当しない「難聴」であると明らかになった。




次に医者に会い、耳のことについて質問した。私は遺伝だと言われたことに確信を持てていなかった。以前インターネットカフェで「ある大学病院のHPに遺伝性難聴について書かれていたこと」を見てから疑いを持っている。

「私は劣性遺伝の感音性難聴と診断されましたが、確信が持てません。私がした検査は聴力検査・レントゲン・MRI・脳波だけです。先日ある大学病院のHPを拝見したら、遺伝を立証するには血液検査や家系図を作って家族や親族の純音度(聴力)を調べたりすると書いてありました。私は本当に遺伝だったのですか?」

「確かにそうだね。あなたの言うことは正しいと思うよ。そんなに知りたければ、そう言う所を紹介しようか?」

私の中に迷いがあった。もしそれが立証されても、自分の聴力は戻らない。「感音性難聴」それだけでも充分な気がした。もしかすれば幼い頃から所構わず殴られていた後遺症かも知れない。(幼児・児童期の怪我の後遺症で大人になってから聞こえなくなった人の事例が実際にある。)

遺伝と立証されて母を恨むのも、逆の場合両親に虐待を受けたことを恨むのも、あまり意味が無いように感じた。もう親の存在は葬り去ったはずだし、原因を追究するのは「現実の受け入れ」と言う問題解決に直接繋がらないような気がした。


「遺伝であればもちろん遺伝するでしょう。まぁ4分の1と考えても、確率は1番初めに生まれた子がそれに当たる可能性もある訳だし。」

厳しい意見だが、冷静に考えてみれば全くその通りだった。センターの医者は単刀直入な言い方で、自分の病院の医者とはまた違った物の見方をしている。

「私は今の日本の法律では障害者になりませんが、難聴であることを証明する診断書を書いてもらえませんか?」

「そんなことをしても良い会社に入れる訳じゃないんだよ。」


私が求めていることは、そんな単純なことではなかった。






≪解説≫「語音明瞭度検査」って何?

聞こえるみなさんには馴染みのない言葉で知らない方がほとんどだと思います。学校や会社の健康診断でする聴力検査は「純音聴力検査」と言います。これで聞き取れない場合は難聴のレベルを測る為に音を大きくして耳鼻科で再検査をしたりします。

音の大きさが両耳70dBを越えるか、片耳90dB以上・もう片耳が50dB以上の場合も身体障害者手帳の6級に該当することになります。

そしてもう一つ「語音明瞭度検査」の明瞭性が50%以下の場合は4級に該当します。検査内容を上に記述しましたが、何となくイメージを持って頂けたでしょうか?


もしあなたが「最近耳の調子が悪い。」「聞こえない。」「聞き取りにくい。」と感じられていて補聴器の必要性を感じているのでしたら是非「純音聴力検査」と共に「語音明瞭度検査」もされることをお勧めします。

仮に「純音聴力検査」で障害の基準に達していなくても「語音明瞭度検査」で障害に該当すれば補聴器の福祉助成など何らかのサポートを受けることができます。高額な補聴器を全額自己負担することに何も問題がないのであれば受けなくて良い検査かも知れませんが、多くの方は経済的負担を感じるのではないでしょうか?


なぜ、言葉の聞き取りの検査が重要かと言うと、言葉は母音と子音から成り立っています。聴覚に障害を持つことで言葉の聞き取りの力が低下すると「まず子音から聞き取りにくくなる」ことが多いです。

そうすると「あ」(a)・「か」(ka)・「は」(ha)など母音が同じ言葉の区別がつきにくくなって行きます。



では、ここで1つクイズを出してみます。

これが分かった方は難聴オタク・聴覚障害者スペシャリストの可能性があります!!楽しんで挑戦してみて下さい♪


♦質問 「おう おいう あい あえあい?」

さて、子音が全く聞こえない状態で相手の方は何と言ったのでしょう?







♦ヒントは 「ランチタイム」です。

勘が良い方は、分かってしまったかも知れませんね。











♦正解は「きょう おひる なに たべたい?」です。

「kyou  ohiru  nani tabetai?」ここから子音を取り除いてみましょう。

「(ky)おう  お(h)い(r)う  (n)あ(n)い  (t)あ(b)え(t)あい?」

ひらがなの言葉だけ読むと質問の文章と同じになります。


言葉が正しく聞き取れないと言うことは、相手の「声が出ている」ことは分かりますが、その「言葉が何と言っているのは分からない状態」です。実質的な会話に支障があるのは、上記のクイズからイメージして頂けると思います。














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失聴経験 9分からない真実 ②相談室

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