失聴経験 10東京都立大塚ろう学校

前編: 失聴経験 9分からない真実 ②相談室
後編: 失聴経験 11悲劇 1か月退社と振り出し

東京都の公開講座で8月下旬から12月中旬までの計7回、都立大塚ろう学校の手話講習会を受講した。聞こえなくなってからすぐにこう言う現場に飛び込んだことは良かったと思う。大塚ろう学校では手話の実技とろう学校の教育内容や様子について勉強できた。私が難聴なのを配慮してもらい、席は毎回先生の隣に座らせてもらった。


始めの頃はろう学校の子供達の様子をビデオで見るだけで涙が出そうになった。ろう学校の子供たちは聞こえる子供に比べて何十倍もの苦労を積み重ねて言葉を獲得する。彼らの一生懸命努力している姿が言葉にならなかった。

「胸が押しつぶされる。」とは、こう言うことだと思った。


中学部の生徒の将来の夢についてのビデオを見た時、聞こえる子供と同じように…と言う言い方は失礼だが、みんなそれぞれ色々な夢を持っていると知った。しかし聴覚障害者を受け入れる社会的な体制が不十分な為に、高等部に進学する際、生徒に狭い範囲で進路選択をさせなくてはならないのが現状だそうだ。

進学希望の生徒に対しても配慮は不充分で、高等教育機関の実体は日本には「ろう大学」がなく(つまりアメリカにはある。)手話通訳やノートテイク(聞こえない学生の代わりにノートをまとめること)に関しても大学によって受け入れ体制がまちまちである。

ここでも強く感じたことは、日本はいかに福祉後進国かと言うことだ。社会的弱者の立場を保障できない国の豊かさは、まがいものである。


手話はろう学校でもつい数年前まであまり使われていなかったそうだ。これはろう学校に問題があるのではなく、社会的通念に基づいている。学校は社会の中に存在し、常に社会の影響を反映している。


聞こえない人が会話をする時、聞こえないことをカバーする方法の1つは、相手の唇の形を読み判断する方法「読話」がある。しかしそれだけでは、会話に限界がある。

難聴の私でさえ聞き間違いは日常茶飯事だ。「タバコ」と「タマゴ」、「ソバ」と「サバ」、「イチジ」(1時)と「シチジ」(7時)など聞き間違う可能性が高い。私は現に待ち合わせの時間を間違った経験がある。


手話は視覚的な言語なので、こう言う点で非常に便利である。私は「今の時代のこの時に聞こえなくなって助かったなぁ。」と思っている。手話が世間的に禁じられている時代に聞こえない方々の苦労は計り知れないと思う。




≪解説≫「高等教育機関のノートテイクについて」

 複数の大学での取り組みがすぐに見つかりました。当時は叶わなかったことが、現在では実現されていてありがたいです。聞こえない当事者にとって本当に大切なサポートですし、きっとノートテイクをしてくれる学生にさん達にとっても良い経験になるでしょう。そしてお互いの理解度や心の距離が近づいたりと言う良いこともあると思います。


日本福祉大学 学生支援センター 聴覚障害学生の支援活動

http://www.n-fukushi.ac.jp/shiencenter/4-8-1.htm#top

 筑波技術大学 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク 

http://www.tsukuba-tech.ac.jp/ce/xoops/modules/tinyd4/index.php?id=38

金沢大学 障害学生支援委員会

http://www.adm.kanazawa-u.ac.jp/ad_gakusei/campus/kousei/soudan/syogai/040.html

熊本大学ノートテイカーサークル

http://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/kouhou/kouhoushi/kumadainow/people/p120530

東洋大学 障がい学生をサポートする支援スタッフ登録について

http://www.toyo.ac.jp/site/handicap/campuslife-support.html




聴覚に限らず障害を持ったお子さんが抱いた夢を自由に叶えられるような優しい社会になってくれたら、とても素敵ですね。




続きのストーリーはこちら!

失聴経験 11悲劇 1か月退社と振り出し

みんなの読んで良かった!