文系女子がドイツでリケジョになってみる ―入学編

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バリバリ文系の私が理系になってみた

私は日本の国立大の文系卒である。センター試験の数学は数Iしかやらなかった。

この物語は、そんな私が何を間違ったか、ドイツの大学でコンピューター科学をはじめたところから始まる。

毛色の違う人々、謎の言語の数々、学年に女子2人のみという過酷な環境の中、奨学金をゲットしたり、まあまあの成績を修めたりと、試練を乗り越えていくお話である。


コンピューター科学?!

そもそも文系の私には、理系が何をしているのかなど興味もなければ想像にもつかない。ただ、ドイツでコンピュータ・サイエンス学科卒の人材不足のため、就職が簡単で給料が良いというのだけを聞いて、「これだ」と思い大学入学の願書を書いたわけであるが、私は別にパソコンオタクでもなければ、人並みの知識しかなかった。ただ、当時日本で外国語学部時代に、Perlという言語をちょっとやっていたもので、その点数が良かったので、なんとなく「私はできる」と思い込んでいたのである。

実際に入学してみて分かったのは、文系が興味本位で学ぶPerlと、理系が大学でやるプログラミングとではまったく違うということを当時の私には知る由もなかった。

さらに、「そういや、私はホームページを作ったことがあったな。HTMLやスタイルシートをプログラミングできるのだから、ちょろいだろう」という文系特有の恐ろしい自惚れがあった。

しかし、その自惚れは、入学直後に教員が言った「秋野さん、HTMLはコーディングです。プログラミングではありません」という苦笑と共に粉砕された。

HTMLがプログラミングでないのなら、何がプログラミングなのだろうか。


ドイツの大学と就職 -入試もねぇ、学費もねぇ

当時31歳だった私は、肌のプルプルした高校卒業したばかりの少年達と、わずかばかりの少女達と、わずかばかりのドイツ美少年達に囲まれて入学したのだったが、そもそもこんな中年女性が大学卒業したところで就職できるのだろうか。

もちろん、これから2年生の二学期になる現在、実際卒業してみないとわからないというのはあるが、ドイツでは30代前半ならまだジョブチェンジが可能だという色々な人の言葉を信じて入学したわけである。さらに、「IT関連は人材不足がひどく、どこの馬の骨でも多少プログラミングができれば仕事は見つかる」という言葉を信じるしかない。

実は、ドイツでは「資格」が重要で、ドアマンでも掃除人でも資格が重要で、資格が無い人は何もできない。そして、プログラマーの職業に付随する資格は大学卒業で得られる。だから、独学でプログラミングが上手い人ってだけでは普通はだめで、「資格」がなければ仕事は得られないのだ。そのために大学に入りなおす必要があったりする。

その変な仕組みのせいで、こちらでは30代前半で大学に入りなおして大規模なジョブチェンジをしてから就職という人は知り合いにも数人いるし、けっこうドイツでは聞く話である。日本のような一斉就活はなく、まったく別の就活システムがあるドイツでは、やるきがあればそういうやり直しのきくように社会ができている。

さらに、ドイツの学費は無料であり、永住権さえあれば半額は返済不要の奨学金が成績悪くてももらえるという福祉国家のマジック。もちろん、わたしのようなすでに学部卒である人はその対象外だが、日本は国立大でも上手く行けば授業料半額免除がもらえて大喜びなのだから、金をもらって大学に行くドイツは天国である。

さらに、入試はない!!やっぱり天国。しかし、そのせいで、時々、「ルート2の2乗は2」ということもしらない理系大学生がいたりする。


入学するには ー鬼の語学資格

日本人にとって語学証明書(ドイツ語版TOEFLみたいの)が一番の関門であろう。ちゃんと語学学校に行けば、真面目な人なら合格するのだろうが、半端な勉強をしているといつまでも受からない。実は私もちゃんと合格したわけではない。私の行っている大学は辺境の地にある大学で、留学生が少ないこともあり、けっこう入学資格のチェックが適当であった。

わりと締め切りギリギリで願書を出す際に、私はまだ語学資格をもっていなかった。留学生課に問い合わせたところ、

「もう6年以上ドイツに住んでるので、受ければ受かるくらいの語学力はあると思うのですが、入学後に提出ということじゃだめですか?」と聞いたところ、「別にそれでもいいですよ」との解答。ということで、入学直前に試験を受けた。結果は2ヵ月後みたいな感じでそのまま入学してしまった。

ということで入学させてもらい、授業もドイツ語的にはまあまあついていけるのだが、入学して2ヶ月くらいして着たTestDafの結果はぎりぎり。

とりあえず、大学続行を公式に許可された。


しかし、中には学校指定のTestDafの点数を満たさなかったが、弁護士に掛け合って入学許可を得るという猛者もいるので、お金に余裕のある人は試してみてください。



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