ないっていえない
二人目がまだ嫁のお腹の中にいる頃。
定期健診の時、産婦人科のセンセーにこう言われたそうな。
「性別は、今知りたい?」
おいおいセンセー、もしかしてそれって、「性別は男」って告知してません?
通常の場合、産婦人科で胎児の性別を確認するには、エコーで胎児の姿を確認した際、例の「キャノンマグナム」の有無を確認する。
「キャノンマグナム」が見えたら、モチロン男の子確定。
「キャノンマグナム」が見えなかったら、多分女の子なんだろうけど、「男の子なんだけど角度か何かで見えない」という可能性も捨てきれないので、性別は確定せず。
センセーが性別を断定できたってことは、つまり「キャノンマグナム」を装備していたって事で、男の子確定という結論が導き出せてしまう。
ここで言いたいのは、このセンセーが気がきかないってこと。
じゃあなくて、
「ない」ってことの証明って難しいなってこと。
どんだけ沢山のエコーで「キャノンマグナム」が見えなくっても、確率はどんどん上がるけど厳密には「女の子」って断定できない。
例えば、「東京にミミズはいる」ことを証明するには、ミミズを一匹捕まえてくりゃいいけど、「東京にミミズはいない」ことの証明は大変。
それこそ東京を隅から隅までひっくり返し、ミミズが見つからないという事実を無限に積み重ねる必要がある。
宇宙人はいるのか?
超能力は存在するのか?
死後の世界はあるのか?
ツチノコはいるのか?
今後30年間で直下型地震は発生するのか?
そのプロジェクトにリスクはあるのか?
そのソフトウェアにバグはあるのか?
原発の再稼働にリスクはあるのか?
今の彼(彼女)よりいいヒトは今後現れるのか?
どの問いにも「無い」とは断言できない。
たまーにこれらの類の問いに断言してくる「色々見える」人達がいるけど、その発言を否定することもまた難しいから、まあ言ったモン勝ちみたいなトコがある。
別にそういう人達や、そういう人達を盲信する人達がいてもいいんだけど、金銭が絡むとちょっと嫌らしくなるかな。
「無い」ことを判断するには、「無い」という状況証拠を、自分が納得行く高さまで積み上げて、そのてっぺんから飛び降りるしかないのかなと思う。
だって、状況証拠を幾ら高く積み上げても、神様のところまでは届かないし。
あ。
ところで神様っているのか?
著者の鎌田 隆寛さんに人生相談を申込む
著者の鎌田 隆寛さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます