小学校の担任に抱きしめられた話

小学校の頃の僕は変わり者で、長渕剛の「とんぼ」という歌に心底惚れ込んで、単音でメロディを弾けるようになるまで朝早く投稿してオルガンを練習してみたり(ノートに「ドレミ」とカタカナで音階を書いていた)、休みの日は一日中板と釘でパチンコ台を作っていたりの子供だった。
それから、異常なまでにルパンが好きで(ルパン三世ではなく)、全集を図書館から借りてきては延々と読んでいた。
そんなある日、文章の中に「抱擁」という言葉が出てきた。意味はおろか読むこともできなかった僕は、担任の女教師に訊ねた。
分厚い本を開いて駆け寄ってきて「抱擁」という言葉の意味を訊ねる満面の笑顔の小学5年生男子。当時の僕は親が買ってきたトレーナーとズボン、頭はスポーツ刈という典型的なまでに不器用な男子だったので、先生も胸に響いたのだろう。
「こういうことよ!」
そのまま担任はギュッと僕を抱きしめ、「わかった?」と言った。僕は普段かいだことのないニオイと、顔に当たる服の生地と、細長い女性の手の形を背中に感じながら、何か不器用な返事をしたと思う。
それ以来、抱擁という言葉を聞くと、年上の女性に抱かれるというイメージが浮かぶようになった。惜しむらくは、その担任が40代だったということだけど、性癖に及ばなかったのは不幸中の幸いだったと思う。
先生、ゲンキかなぁ。先生のおかげで、読書を続けられています。

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