人という財産は何にも変えられないのです

次話: 仕事はどれも大変なのです

遠く離れた親友から相談の電話。


話を要約すると、今より給与がいい会社に勢いで応募したらとんとん拍子で採用が決まったのだが、面接や電話の対応を含め、会社の雰囲気がどうも腑に落ちないのでどうすべきだろうかと悩んでいるというのです。


とにかく色んな話を聞いてみました。もちろん親友当人の話だけで、採用を決めた会社側の話は聞こえないわけですが、私の中では即決でした。


「今のところに留まるべき」だと。


親友は私と同じく心の風邪、いや、心の骨折をしています。病を治すのに一番必要なのは時間です。今いるところは幸いにして人間関係で悩むことはないそうです。いい人達が多いのだそうです。


仕事は金で決める、金が全てという考え方の人には到底理解できないかもしれませんが、私は仕事をする上で一番大事なのは「人」だと思っています。


私自身も体調が安定して、もし許されるならば前の職場に戻ってみたいなと考えることが時折あります。時折ですけどね^^;


そう思わせてくれるのはやはり人なんだろうなと、自身に置き換えてみてもそう思いました。前の職場は心の骨折で已む無く退職することになったのですが、仕事が嫌だったとか人間関係で悩んだとか、そういう理由ではなくごく個人的な理由が原因でした。たまたま、そのタイミングで母親を見送った疲れが出てしまったのだろうと…そう思っています。


親友は私よりはるかに根が真面目なので、恐らく新しい一歩を踏み出した途端に許せないことがいくつも出てきてしまうだろうと予測がつきます。


そうなってしまった時に、今の心の状態よりモチベーションが下がってしまったら、そこから這い上がるのは膨大な時間がかかります。だから、今は動かず留まったほうがよい。私は親友にそう伝えました。


人間としてポンコツな私ですが、急激なアクセルにブレーキをかけるぐらいのことはできます。それが親友の役割だろうと。電話をかけてきた時点で少なくとも迷いがあったわけです。本当にいい話だと私が感じ取れたなら手放しで背中を押しますが、流石に今回はしませんでした。


最後は親友本人が決めることではありますが、今の場所は決してぬるま湯なんかではないと。ぬるま湯かもしれないと自身が気づいていればそれで充分です。ゆでガエルの法則には全く当てはまりません。


電話の後、親友は奥様と話し合ったそうです。普段は強がってしまうのですが、今回は本音でしっかりと…そして今のところに留まる決意をしたようです。


30年以上の付き合いになる親友。普段は顔を合わせられなくても、いざという時ちょっとした手助けができればいい。本音で語れればいい。お互いに足りない部分を補い合えればいい。そう考えています。


今回のことで、会社にしろ学校にしろ、どんな社会に属していていようとも、人という財産は本当にかけがえのない、何にも変えられないものなのだとあらためて身に沁みた気がします。



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仕事はどれも大変なのです

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