あぞなの空は青かった【20】Old Tucsonオールド・ツーソン

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大学のESLコースでは、グランドキャニオンと近場のオールド・ツーソン(Old Tucson)へのバス旅行があった。まだ先行きをどうするか決めておらず、お金に不安があったわたしは費用のかかるグランドキャニオンを避けてオールド・ツーソンのみにしたが、今にして思えば無理してでもグランドキャニオンは行っておくべきだったと多少後悔している。
というので、取り立てて何があったわけではないが、今日はオールド・ツーソンの話。

長い間、Old Tucsonとばかり思っていたのが、今回調べてみると、正式には Old Tucson Studiosと呼ばれ、1940年の映画「Arizona(ジーン・アーサー、ウイリアム・ホールデン主演)」撮影のために作られたとWikipediaにある。

以来、ひとつの町単位のオールド・ツーーソンは、スタジオとして、「OK牧場の決闘」「リオ・ブラボー」「トゥムストーン」「Red River」など、多くの西部劇映画やウェスターンTVドラマの撮影現場に使用され、現在はテーマパークになっている。
 
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スタントマンのガンファイト・シーンが目の前で見られる。サルーンから取っ組み合いながら外へ転がり込み、突然始まったのには驚いたが(笑)

1995年に火災にあい、多くの映画やドラマの撮影に使用された記念建物が失われ、再びオープンしたのは1997年とある。わたしが訪れたのは1978年のことで、もっと注意して情報を集めることができていたら、今日ブログに書くことも違っていたはずである。

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オールドツーソンの記念写真。古い写真で失礼。

と言うのは、渡米前まで日本にいたときのわたしはステレオは持っていたものの、テレビは主義で持たなかった。後にポルトガルに来て、こちらのテレビで見たシリーズ、「大草原の小さな家」は一家で大ファンになったのだが、日本では1975年から1982年まで放映されていたとのこと。実はこのオールド・ツーソンがシリーズ一部の撮影現場であったのだ!

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↑初期のインガルズ一家   ↓後半、長女のメアリーの結婚相手と養子として向かえたアルバートもメンバーに。
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現在のオールドツーソン。写真の看板「Olsen´s Mercantile」を見て、お、大草原のMrs.Olsonの店のセットが!と一瞬早とちりしたのだが、店のペンキが白だったことを思い出し、よく見ると一文字違いの、「Olsen´s」であった。バックにアリゾナ山脈が連なっている。

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ドラマではちょっと意地悪で計算高く、娘を溺愛する個性的な役で、「大草原」も彼女なくしては盛り上がらないであろう。脇役ながら大きな存在感があった↓
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多くのセットが火災で失われてしまったのは返す返すも残念なことである。

「大草原の小さな家」に絡んでポルトガルでのことを少し述べてみたい。



わたしがポルトガルに来た36年前は、テレビが白黒だったのに、えっ!と驚いたものである。
  
日本では5年間ほど「テレビを持たない主義」を通したわたしではあるが、それでも白黒テレビが日本では既になくなって、カラーテレビが当たり前の時代に入っていたくらいは、いくらなんでも知っていた。ポルトガルでカラーテレビがお目見えしたのは、それから数年たってからである。

テレビチャンネルも当時は2局のみ、いずれも国営放送だった。放送開始は午後からで、夜11時ころには終了である。そのときは必ず、はためくポルトガル国旗をバックに、ポルトガル国歌が流された。だから、わたしはポルトガル国歌を自然に覚えてしまったといういきさつがある。

それはさて置きまして、タイトルの「大草原の小さな家」だが、これはアメリカの作家ローラ・インガルズ・ワイルダーが、自分の子供の頃に住んでいたミネソタ州の小さな村、ウォールナット・グローブでの様々な出来事を綴った本で、アメリカの子供なら必読と言える名作である。

これを原作にして作られた、マイケル・ランドンのTVドラマは我が家の永久保存版になっている。

わたしたち4人家族は夕食卓を囲みながら、何度このドラマを繰り返して見たことだろう。特に娘などは、セリフを殆ど暗記するほどの執心ぶりであった。亭主にいたっては、「まぁたか・・・」と言いながらも、わたしたちと同じように、次がどんな展開をするのか全て知っていながら、いつの間にか各々のエピソードから目を放せなくなっているのであった。
   
ドラマはもちろん素晴らしい。
しかし、わたしが子供達にこのドラマを見せだしたのには、もうひとつ理由があった。ポルトガルでは海外ドラマや海外映画は吹き替えをせず、そのまま原語で放映される。これはある意味、とても素晴らしいことだと思う。吹き替えをすると、本当のドラマや映画の味がどうしても損なわれてしまうとわたしは思うのだ。

だから、この「大草原の小さな家」を通して、子供達には英語のセリフをそのまま、学んで欲しいと思ったのである。
   
子供たちをポルトガルの学校ではなく、英国式教育のBritish Schoolに通わせることをわたしたち夫婦は話し合って決めたいきさつがある。できれば、自然な言い回しの言葉をこのドラマを通して学んでくれたらそれに越したことはあるまい。もちろん、アメリカ英語とブリティッシュ英語との違いは多少あるが、それがわたしの作戦であった。そして、この作戦はみごと功を奏したと言える。

ドラマは、ローラとその父親チャールズと家族を中心に、その他、様々なキャラクターを装って多くの子供が登場してくる。同時に、世間によくいがちな自己中心的なタイプの大人たちも多く描かれている。

「大草原の小さな家」では、言葉だけでなく、そのドラマを通して感動したり、意地悪で計算高く、わが子となると見境なく溺愛してしまうミセス・オールソンや、うそつきでわがままなその娘ネリーに憤慨したりと、世間の一窓を垣間見ることができる。

私自身も、ドラマのローラの両親のように子供と真剣に向き合う親になりたいと願い、子供を育てる上で多くのヒントと教訓を「大草原の小さな家」から得たと思う。

我が家にある録画ビデオ本数、一本が6時間撮りで20本以上はあろう。ビデオを通しての疑似体験が、あたかも私達家族の思い出であるかのように、記録されている1セットである。

参考:原題 Little House on the Prairie
原作 Laura Ingalls Wilder


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