Stay with me!

シリアの難民問題を取り上げたドキュメンタリを見た。シリアからトルコの国境を越え、ドイツに一足先に難民として入国していた夫の元へ、3人の幼子を連れて苦難の道のりを経てやっと合流するというものであった。列車やバスを乗り継いて、何とかたどり着いたものの、その先のまったく見えない状況のなかで、乳飲み子をかかえ、やっとあるける幼子をひきつれて、悲しみの涙を流しながら、Stay with me!とこの子らに言い続けている。その子らは母親から離れまいとして、母の洋服の端をしっかりとにぎり、泣きながらもくもくと歩くのである。暗闇の中を不安と絶望からただただ、難民の列についていくしかない、こんな状況をかつて想像したことがあったろうか。母国をすて、この過酷な道のりを何故に歩まなければならないのか。今の世の中にこれほどまでに悲しい出来事はないのではないか。子らの瞳の輝きのなかに一縷の望みを託し、無事であるように祈るばかりであった。やがて、彼らはドイツの難民受け入れセンターにたどり着くのである。そして、そこで待ち受けていた夫、父親に巡り合えたのである。言葉にはならない、肩を抱き合い、ほほをすりよせ、熱い涙がほほを伝っていた。今の世にこれほどまでの悲しみが現実であること。胸の痛む思いである。かつて、第二次大戦時に同じ思いで、わが母も4人の幼い子の手を引いて、“離れないで!”と言いながら、引き揚げてきたであろうことを思うと、滂沱と溢れる涙を禁じ得ないのである。

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