お父さんがFBIだった友達

次話: FBIのはなし
中学生のとき、仲のよい子がいた。

その子は、あるとき、私に言った。

「これ、本当は誰にも言っちゃいけないんだけど、うちのお父さんはFBIの麻薬捜査官なの。家族が狙われると困るから、お父さんは、めったに家に帰ってこないの。でも、麻薬捜査官だから、中央区の佃に、高層ビルを何軒も持ってるんだよ」


木更津の田舎の中学生だから、そうなんだー、って思った。

ところが、その話をした直後、その子が忽然と当時住んでいた学校の寮から行方不明になった。


みんなが「どこへ行った…!」と探している間、

私は「お父さんが麻薬捜査官なこと、先生に言ったほうがいいのかもしれない…」とドキドキしていた。

数日後、その子は、四国のおばあちゃんちに逃げ出していたことがわかった。
四国から帰ってきたあと、その子とはなんだか疎遠になった。
別の子と話をしていたら、誰にも言っちゃいけないはずの「お父さんはFBI」話は、けっこうみんな知ってる話だった。

佃って、大きくなってからあとで調べたけど、ビルなんてほとんどないところだった(当時は)。

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FBIのはなし

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