闇を切り裂きタブー解禁。15年間書きためた原稿がやっと本になった出版記念に、実家のお寺で緊縛イベントをやってみた。

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そう考えるようになった。




地震のあとも福島では、

地元の人々によって

毎年続いていたモリノネ。

私は最初の出版記念以来、

4年ぶりにモリノネに参加したいっと

コンタクトをとった。

すると、

「一緒にイベントをやりましょうよ」

っと、モリノネの仲間は

ひきこもっていた私を

こころよく受け入れてくれた。




「せっかくだし、黒澤さんの出版イベントすれば?」

モリノネの仲間のひとりに

言われた一言がヒントになって、

インスピレーションがうまれた。

ヴァイオリンと縄と朗読者がステージにいる図が浮かぶ。

じゃあモリノネとは別として。

夜の部におこなうイベント。

「裏森ってのはどう?」

ヨルモリでもなく、ヨルノネでもなく、裏森。

子供は入れない18歳以上立ち入り禁止のイベント。

タイトルが決まると、ますますイメージが浮かぶ。

朗読と縄とヴァイオリン。

これは、やらねば!!

私は興奮冷めやらぬまま、

縄ができる友人のさくらさんにメールをした。




とりあえず、やってみないとわからない、

ということで新宿の某縄バーで、

さくらさんと合流。

舞台のお話のベースになる、

短編集トウモコロシの中の

「ベルゼブブ」を読み合わせ。

朗読の私と縄のさくさらん、

二人だけでのリハーサルがはじまり、

縄で縛られながら朗読。

朗読していると、それにあわせて

さくらさんがアイディアを出していく。

◯ポインターを使うのはどう?

◯布をはいでいくっていうのは?

と、みるみるうちにアイデアがあふれて、

さくらさんのショウに対するイマジネーションはさすが。

人に見せるものをつくらなくては。

彼女の意識の高さに、

作品を読むだけでは舞台は成り立たないんだ、

ということを初めて知った私は、

ここから台本を作る、ということをはじめた。




ヴァイオリンには脇田さんを、

とおもっていた。

ベリーダンサーとのコラボレーションでのショウで、

自在にダンサーを転がしているような

空間にひろがる不思議な音に、

コラボレーションするなら、この人!

と、これまた勝手に決めていた。

話したこともなければ面識もない。

けど、やるしかなかった私はいきなり

ヴァイオリンの脇田さんに連絡をとった。

すると、思いがけず、

快く快諾してくれた。

脇田さんと最初の2人のミーティング。

はじめまして、の脇田さん。

朗読とヴァイオリンの読み合わせをすると、

最初から、いい感じでかみ合う。

ヴァイオリンが、素晴らしく、朗読にそってくれている。

音に安心して、声をまかせられる感じ。

なにも心配ない。そんな安心感だった。




お寺で縄をやる、という試み。

改めて台本を練り直してみる。

台本のベースは短編集トウモコロシより

『ベルゼブブ』

一番最後に書いた作品で、

11話の中でも

もっとも、濃くてえぐい話。

内容はといえば、

目の見えない娘を父が最終的には殺してしまうような話で、

相当えぐいんだけど、なぜか、どーしてもそれをやりたかった。

どーして縄なのか?

っと、質問されると。

その、執着、がんじがらめさを

縄がそのまま表現してくれるような感じがしたから。

時代のイメージは、大正ロマンの時代設定。

しつこい執着感とお寺で縄をするというタブー。

「タブー」

ということを裏テーマに挑戦しよう。

そうおもっていた。






縄のモデルを決めなくてはいけない。

モデルには、いとこのジュンコちゃんはどうだろう?

ジュンコちゃんは、尼僧修行をしていて

女性でありながらお葬式ができる。

岐阜にある、大きなお寺にとつぎ、

5人の子を持つ母でもある。

私は子どもの頃、彼女とよく遊んだ。

共にファンタジックだったためか馬があって、

架空の世界にのめりこんで遊んだ。

しかし、今は岐阜の大きなお寺に嫁いでいた。

とても、厳格で壮大なお寺だ。

はたしてジュンコちゃんにお願いして、

オッケーっと言ってくれるだろうか?

私は断られるのを承知で、電話した。

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