闇を切り裂きタブー解禁。15年間書きためた原稿がやっと本になった出版記念に、実家のお寺で緊縛イベントをやってみた。
そう考えるようになった。
☆
地震のあとも福島では、
地元の人々によって
毎年続いていたモリノネ。
私は最初の出版記念以来、
4年ぶりにモリノネに参加したいっと
コンタクトをとった。
すると、
「一緒にイベントをやりましょうよ」
っと、モリノネの仲間は
ひきこもっていた私を
こころよく受け入れてくれた。
☆
「せっかくだし、黒澤さんの出版イベントすれば?」
モリノネの仲間のひとりに
言われた一言がヒントになって、
インスピレーションがうまれた。
ヴァイオリンと縄と朗読者がステージにいる図が浮かぶ。
じゃあモリノネとは別として。
夜の部におこなうイベント。
「裏森ってのはどう?」
ヨルモリでもなく、ヨルノネでもなく、裏森。
子供は入れない18歳以上立ち入り禁止のイベント。
タイトルが決まると、ますますイメージが浮かぶ。
朗読と縄とヴァイオリン。
これは、やらねば!!
私は興奮冷めやらぬまま、
縄ができる友人のさくらさんにメールをした。
☆
とりあえず、やってみないとわからない、
ということで新宿の某縄バーで、
さくらさんと合流。
舞台のお話のベースになる、
短編集トウモコロシの中の
「ベルゼブブ」を読み合わせ。
朗読の私と縄のさくさらん、
二人だけでのリハーサルがはじまり、
縄で縛られながら朗読。
朗読していると、それにあわせて
さくらさんがアイディアを出していく。
◯ポインターを使うのはどう?
◯布をはいでいくっていうのは?
と、みるみるうちにアイデアがあふれて、
さくらさんのショウに対するイマジネーションはさすが。
人に見せるものをつくらなくては。
彼女の意識の高さに、
作品を読むだけでは舞台は成り立たないんだ、
ということを初めて知った私は、
ここから台本を作る、ということをはじめた。
☆
ヴァイオリンには脇田さんを、
とおもっていた。
ベリーダンサーとのコラボレーションでのショウで、
自在にダンサーを転がしているような
空間にひろがる不思議な音に、
コラボレーションするなら、この人!
と、これまた勝手に決めていた。
話したこともなければ面識もない。
けど、やるしかなかった私はいきなり
ヴァイオリンの脇田さんに連絡をとった。
すると、思いがけず、
快く快諾してくれた。
脇田さんと最初の2人のミーティング。
はじめまして、の脇田さん。
朗読とヴァイオリンの読み合わせをすると、
最初から、いい感じでかみ合う。
ヴァイオリンが、素晴らしく、朗読にそってくれている。
音に安心して、声をまかせられる感じ。
なにも心配ない。そんな安心感だった。
☆
お寺で縄をやる、という試み。
改めて台本を練り直してみる。
台本のベースは短編集トウモコロシより
『ベルゼブブ』
一番最後に書いた作品で、
11話の中でも
もっとも、濃くてえぐい話。
内容はといえば、
目の見えない娘を父が最終的には殺してしまうような話で、
相当えぐいんだけど、なぜか、どーしてもそれをやりたかった。
どーして縄なのか?
っと、質問されると。
その、執着、がんじがらめさを
縄がそのまま表現してくれるような感じがしたから。
時代のイメージは、大正ロマンの時代設定。
しつこい執着感とお寺で縄をするというタブー。
「タブー」
ということを裏テーマに挑戦しよう。
そうおもっていた。
☆
縄のモデルを決めなくてはいけない。
モデルには、いとこのジュンコちゃんはどうだろう?
ジュンコちゃんは、尼僧修行をしていて
女性でありながらお葬式ができる。
岐阜にある、大きなお寺にとつぎ、
5人の子を持つ母でもある。
私は子どもの頃、彼女とよく遊んだ。
共にファンタジックだったためか馬があって、
架空の世界にのめりこんで遊んだ。
しかし、今は岐阜の大きなお寺に嫁いでいた。
とても、厳格で壮大なお寺だ。
はたしてジュンコちゃんにお願いして、
オッケーっと言ってくれるだろうか?
私は断られるのを承知で、電話した。
ストーリーをお読みいただき、ありがとうございます。ご覧いただいているサイト「STORYS.JP」は、誰もが自分らしいストーリーを歩めるきっかけ作りを目指しています。もし今のあなたが人生でうまくいかないことがあれば、STORYS.JP編集部に相談してみませんか? 次のバナーから人生相談を無料でお申し込みいただけます。
あなたの親御さんの人生を雑誌にしませんか?
著者のKurosawa Yukoさんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます