運命
『とりあ 乾杯しよー 』
カチャン
グラスのぶつかる音が響き
その後は保育園と幼稚園の違い という
どうでもいい話題で場を繋いだ
『明日は週末、今日は素敵な夜にしたいから
お店で一番いいお酒 空けちゃお?』
『えーいいんですかー? 』
黄色い声を上げる 美穂と祥子は 俺が 俺だという事は
全く気が付いていない
タケルは もぞもぞしながら
『 なら次回は俺が持つから 』
とビビってる
『ああ、 鳥貴族でな』
だからお前も好きなだけ飲めよ
自分自身も見たことが無いような酒がポンポンと空いて
夜はふける
二人が俺達にもたれかかってくる頃になってくると
俺は再びタケルを連れ出した
作戦会議!
廊下にタケルの分の鞄も持って出る
『タケル、お前100メートル何秒で走れる?』
『あ?足よりも手の方が早いぜ 俺 祥子ちゃん持って帰るわ』
『おい、駅まで競争だ』
状況を察したタケルは 絶句した
二人ともエア電話をしながら店の外に出るや否や
恵比寿駅まで疾走した
駅に着くと息を切らしながら
タケルがつかみかかってくる
『どういうつもりだよ!』
俺はタクシーを止めながら言った
『運命だ。』
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