全ては子供たちがくれた2

いい色眼鏡(お茶の間論文大賞受賞作を改変しました)

 大学を出てすぐに先生と呼ばれ、1日の授業や学級活動はもとより、評価までしなければならない。

とにかく走り続け、4月の赴任式から、あっという間に学期末になっていた。

 つい3ヶ月前までは、評価される側だったのに、する側になってしまった。さてどうしよう。

子供の頃を思い出すと、一字一句に家族で一喜一憂していたものだった。責任の重さに押しつぶされそうになる。

 私にとって一番難しいのが、意欲関心の項目だった。一体全体どうやって意欲関心なんて、計るの?一人一人感じ方も表し方も違うだろうに。音楽を聴いている時も、気持ちよさそうに体を揺らしながら聞いている子もいれば、じっと心でかみしめながら聞いている子もいるだろう。体育のかけっこの時、よーしやるぞーと体を動かしながら準備している子もいれば、静かに心を集中させている子もいるだろう。計れるものでもないし、比べるものでもない。

 そう考えたら、私が子供達の大切な心を見逃していたらどうしよう、と不安になった。だって、表面の姿を見ただけでは、その子の心の中までは見えないからだ。よくよく観察しているつもりでも、うっかり見逃したり、誤解したりしているかもしれない。

 そんな時、思いついたのが、「いい色眼鏡」をかけること。

色眼鏡をかける、という言葉があるが、初めから「いい色」眼鏡をかけてみるのだ。

「この子は、意欲がある」だって、○○しているじゃない。そうすると、見えていなかった子供の行動が見えるようになってきた。そして、いい色眼鏡をかけ続けるうちに、もう、かけていることすら忘れてしまって、私は、子供達の全てが、そのままで十分だ、と思えるようになってきた。

そのままの君が素敵だ。そう心から思えるようになってきた。

それは、その子供たち一人一人が私にそれを身を以て証明してくれたから。

だから私は、永遠の「いい色眼鏡」を手に入れることができたのだ。

本当に素敵な子供達だった。

子供達がくれた「いい色眼鏡」は、その後の私の人生にも大きく影響し、私自身の人生をいい色に見せてくれている。

 



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