【第11話】父子家庭パパが所持金2万円からたった一人で子供2人を育てた10年間だったけど、これで良かったのか今でも分からずに文字にした全記録を、世に問いたい。

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前編: 【第10話】父子家庭パパが所持金2万円からたった一人で子供2人を育てた10年間だったけど、これで良かったのか今でも分からずに文字にした全記録を、世に問いたい。
後編: 【第12話】父子家庭パパが所持金2万円からたった一人で子供2人を育てた10年間だったけど、これで良かったのか今でも分からずに文字にした全記録を、世に問いたい。

子供たちも生活が劇的に変わったわずか2週間後に母が死んだわけで、引っ越しの荷物もほどいていない状態、どこに何があるかなどまったくわからないままで母の遺体は運び込まれてくるし、葬儀屋との打ち合わせだの親族への連絡、挨拶など、やることは山積みになった。

ここに越してきたばかりで生活環境が整っておらず、このバタバタの中、上の子を学校に行かせるだけの余裕がない。

下の子はどのみち幼稚園を中退してしていて、来年の4月まで所属するところがないわけだから、どんな状況でも僕がそばにいて見ていないといけない。

そうなると、このただでさえ目の回るようなスケジュール、下の子を見ていることなど現実的に不可能だった。

他に預けるところもないし、誰かほかの親族が子守をしてくれるわけでもない。

上の子の学校を休ませ、下の子の面倒を見てもらうしかない。

上の子はまだ小学校3年生。

しっかり者だったし、責任感も強く、兄弟とても仲が良かったので、下の子もお兄ちゃんがいればとりあえずは遊び相手もいるし、言うことは聞くし、何とかなる。

上の子の負担はあるけど、考えないようにした。

考えても仕方がない。

これが、頼れるものがいない一人親の切ないところ。

最後はどうしても、上の子に頼ってしまうことになる。

かわいそうな気もするし、ただでさえ負担をかけているのに、こんなときにまた大人の都合を押し付けるのも気が引けるのだが、これが最善の方法だと信じる以外、先には進めない。

上の子は母の葬儀が終わりひと段落するまで、小学校を休ませることにした。

転校して僅か2週間、ようやく慣れて学校で友達と遊びたい頃だったに違いない。

下の子をお兄ちゃんに任せ、葬儀の段取りをしたり、来てくれた様々な方の対応をしたり、兄達やその他手伝ってくれている親族にお茶やご飯を作ったりと、とにかく目の回る忙しさ。

子供たちのことなど、気にかけてやる暇などなかった。

子供たちは周りにいる大人たちに邪魔者扱いされながら、家の中をうろうろしたり、家の前の公園で遊んだり、母が安置されているリビング横の和室で線香を絶やさぬよう気にかけてくれたりしていた。

僕にとっても、これほど近しい人の葬儀にかかわることは初めての経験だったので、人が一人死ぬというのはこんなに忙しいものなのかと、つくづく思ったものだった。

夜遅くまで人の出入りは途絶えることなく、母の思い出話をいろいろな人から聞かされた。

そこには僕の知らない母がいて、一人の人間として、僕や家族には見せることになかった母が生き生きとしていた。

話を聞いているのは楽しかったけど、子供たちのことも気になって、たまに中座しながら子供たちに晩御飯を食べさせ、二人で仲良く寝るんだよといい、二階に上がらせた。

みんなの読んで良かった!