タイムスリップなバーでの出来事
Timeslipを作り始めてから「タイムスリップってどういう体験か?」「人は、どういうものを懐かしいと感じるのか?」ってことを散々考えている。
そういう根本にある部分が、今後サービスの世界観に繋がっていくのかなと日々考えを巡らせている。
そんな折、毎日の会社からの帰り道に「1970~90年代の音楽流してます!」みたいな触れ込みのバーがあることに気づいた。
ものすごく引かれたんだけど、一人で入るのはちょっと勇気がいる。
でも、その店がどういうコンセプトで営業して、どのように客に受け入れられているのか非常に気になった。
結局、嫁を誘って店に入ることにした。
その店は、10畳くらいのスペースにバーカウンターとテーブル席があった。
壁には昔のレコードや雑誌が飾ってあった。
30インチくらいの液晶モニターがあってそこに昔の音楽が流れていた。
小泉今日子、久保田利伸、T.M.NETWORK、長渕剛、プリンセスプリンセス、WANDS&中山美穂、鈴木あみなどのPV or Live映像が流れていた。
Timeslipを作ってる私としてはものすごく共感できる店の雰囲気でかなり気に入った。
しかし、その店には一つ大きな問題があった。
客が私たちだけなのだ!
土曜の19:00くらいに入店して1時間ほどで出たのだが、その間一人も客が来なかったのだ。
その時は
・売り出し方が下手
・もう少し遅い時間から混み出す
・私がそうだったように入りにくい雰囲気なのか(店は2階にある!)
などの理由でそうなったのかなと、そこまで深く考えなかった。
きっと、ちょっとの工夫で繁盛するだろうとタカをくくっていた。
そしてその数日後、今度は一人で店に行ってみることにした。
嫁と一緒の時はマスター(中年男)も気を使ったのかあまり話しかけてこなかった。
今度は、店やマスターについてもう一歩踏み込んで探ってみようと思った。
水曜の22時くらいに行った。
今度は客が二人、中年の男女がいた。
二人とも常連らしくてマスターと親しげに話してくれた。
自分もちょっとは話はしたが、そんなに盛り上がらなかった。
次第に中年女性の方が、酒も回ってトークのスピードが上がっていった。
最近、見た映画の話をしだして挙げ句の果てに自分の映画論について延々と語り出した。
それも懐メロを売りにしている店だけあって、どちらかといえば私の世代にはあんまりピンとこない映画や俳優の話をだ。
そこにいた私以外のメンバーざっくり言うと大体同じ世代なのか、それぞれ異論は挟みつつも会話のテンポとしてはよく噛み合っていた。
一方で、年間だいたい5本程度しか映画を見ない私からすると、かなり居心地の悪い空気だ。
全く共感できないし、私はこの店の新参者なので口を挟める感じじゃない。
結局、この状況に見切りをつけてさっさとお勘定をすませ店を出た。
多分、この店にはもう行かないと思う。
さて、この体験を通じて自分の中で一つの仮説が浮上した。
懐かしい会話ができる環境(もしくは間柄)というのは、もれなく排他的なんじゃないかって思った。
ジェネレーションギャップっていうように、ある世代にとって懐かしいと思うネタは他の世代にとっては取るに足らない話なのだろう。
もっと言うと、学生時代などよりクローズドなコミュニティの思い出話など部外者には伝わらない話は中の人にとって面白くてしょうがない。
当然と言えば当然なんだけど、それぞれのバックボーンによって懐かしいことってのは異なる。問題は、それが共有できないアウトサイダーは居場所が悪いし共有したい側も自分の話がウケるのか不安になったりするはずだ。
結論、みんなにとって懐かしいと思うものを作るのは不可能だ!
じゃあ、Timeslipはどんな風にサービスを作っていくべきなのか。
それは、細かくセグメントを切ってそれぞれにとっての懐かしいコンテンツを提供しないとダメだなと思ったわけです。
大手ポータルサイトのようにマスを狙うんじゃなくてマイナーなネタをたくさん拾わないとダメなのかなと思った。
現状で西暦ごとタグごとに写真を分類してますが、この仕組みをさらに強化していこうと思っています。
どんどん機能改善して時間旅行しているような体験を提供できればと思います!
読者の皆さんからも随時ご意見も募集しています!
これからもTimeslipをよろしくお願いします。
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