【第14話】父子家庭パパが所持金2万円からたった一人で子供2人を育てた10年間だったけど、これで良かったのか今でも分からずに文字にした全記録を、世に問いたい。

1 / 4 ページ

前編: 【第13話】父子家庭パパが所持金2万円からたった一人で子供2人を育てた10年間だったけど、これで良かったのか今でも分からずに文字にした全記録を、世に問いたい。
後編: 【第15話】父子家庭パパが所持金2万円からたった一人で子供2人を育てた10年間だったけど、これで良かったのか今でも分からずに文字にした全記録を、世に問いたい。

昨日施設で見た父は、いつもと変わらず元気だった。


施設の方は、父の状態と搬送される病院名を告げあわただしく電話を切った。


「お時間があれば病院のほうまで来ていただけないでしょうか」


そう最後に付け加えられていた疑問形での問いかけは、絶対に来てくれと言っているに等しい。


父に何かあったときの緊急連絡先の優先順位第1位は僕の自宅並びに携帯電話の番号だったから、迷わずそこにかけてきたに違いない。


「はい・・・わかりました」


と言ってはみたものの、さて、どうすればよいか


父は肺がんを患っていたが、80過ぎの癌は風邪と大して変わらないというなんともわかりやすい医者からの説明で、放置していた。


今手術を受けてもそれに耐えうるだけの体力が残っていないというのも、手術に踏み切らなかった理由の一つだった。


僕はてっきり、この肺がんの何かで父の状態が悪化したのかと思ったのだが、どうやらそうではないらしい、食べ物を詰まらせ誤嚥したとのことだった。


いまいち電話では状況を把握しきれなかったが、最近の父の様子からして、食べ物をのどに詰まらせての誤嚥のほうが、はるかに肺がんより死に近いような気がしてならなかった。


搬送された病院は、この界隈では有名な呼吸器の総合病院で、車で20分程度。


掃除や洗濯もそこそこに、下の子の着替えを済ませ車に飛び乗ったのだった。


父が搬送されて1時間程度たったころだろうか。


僕たちは病院に着き、受付で父の名を言うと病室の部屋番号を教えてくれた。


2階の病棟に入院することになったらしい。


父はすっかり個室のベットに横たわり、腕には点滴の注射針が入れられて、酸素マスクのようなものをあてがわれていた。


寝ているのか、薬で眠らされているのかわからなかったが、身動き一つせずに横たわっていた。


しばらくすると看護師さんが僕を呼び、先生が待つという部屋に案内された。下の子を連れ、薄暗い廊下に置かれた長椅子に腰かけて、担当医に呼び出されるのをしばらく待っていた。


のどが渇いた様子の下の子は、しきりに飲み物を欲していたが、それどころではない。


「もう少し待ってね、これが終わったらジュースとお菓子買ってあげるから」


そう言って聞かせ、下の子の手を握っていた。

みんなの読んで良かった!